磯部涼さんの「踊ってはいけない国…」を読む。

2014/03/17 15:42レビュー クラブ 雑感 

やまー。

磯部涼さん著の
踊ってはいけない国、日本 ---風営法問題と過剰規制される社会
踊ってはいけない国で、踊り続けるために ---風営法問題と社会の変え方
を読みました。

2010年12月に大阪アメリカ村で起きた警察によるクラブ一斉摘発に端を発した全国のクラブ事情を背景に、
今後のクラブシーンのあり方を模索する啓蒙本。乱暴に要約してしまうとそういう事かと思います。

個人的にとても興味のあるテーマだったのでそれぞれ2回ずつ読んだのですが、いかんともしがたい読後不良感。

先に発刊された「踊ってはいけない国、日本」は、前述のアメリカ村で起きた摘発事件と関係者に与えた同様が語られていて、
どうやらそれを取り締まっている「風俗営業法」を改正するか、うまく付き合っていく必要がある、と言うことが書かれている。

さらに社会と風俗との歴史、社会学的な思想論や市民運動について語られているんですが、この後者のボリュームがあまりにも
大きくて、途中何の本を読んでいるのか分からなくなってしまった。
例えて言うなら「風営法」と言う城の本丸がありながら、外堀のさらに外のことについてひたすら書かれているような感じ。

最後まで読み終えた感想は「で?」と。
「で、クラブ問題はどうなるの?どうしていくのがいいの?」

と言う素朴な疑問への回答がない。


続編にあたる「踊ってはいけない国で、踊り続けるために ―風営法問題と社会の変え方」は、前作から時間が経ち、
「Let's DANCE!」などのクラブ問題と直結する市民運動も始まっていたり、アジカン後藤正文氏の活動や、「ロビーイング」と言う法改正に直接働きかける方法など、より具体的な内容について書かれているので前作よりは腑に落ちる部分はあったけれど、
やはり社会思想や背景に関する論説が多く、読後の「で、どうなるの?」感は前作同様に残った。


ただ、だからと言ってこの本がダメな本だとは思わない。

現実的に問題を解決することが可能な唯一の手段「風営法」の改正は、選挙に行くか、ロビーイングぐらいしかやりようがなく、地道な積み重ね、そして時間もかかるので、現時点では結果はおろか先行きもわからない。なので本の中で掘り下げたり、膨らませるのにも限界がある。
一方で社会や市民、そしてそれに関係する風俗の成り立ちは話の規模が大きすぎて、全体を語ろうとすると抽象的になりすぎるし、各論を語ろうとするとコアにコアに行ってしまうので的外れな話がされてるような感覚を持ってしまう。ケーススタディとしては「なるほど」と思えるので勉強にはなるんだけど、そこまでと言うか...。

結局この2冊の本から読み取れるのは

「社会(≒クラブ問題)は紐解こうとするとすごく面倒くさくて、それを動かすのって大変なんだなぁ」

と言うこと。

ただ、この本から受ける読後感の悪さ、モヤモヤした感じの大きな理由の一つは、ロビーイングの結果がまだ出ていないことがとても大きい。

・クラブ営業は風営法が規制している
・法律を変えるにはロビーイングと言う手段がある
・で、ロビーイングしてどうなったの?

と言う三段論法の最後の結論がないままで本を買うのはかなりの難題。そしてたぶん著者の磯部涼さんはこの本を3部作として考えてる気がする。
「ロビーイングしてどうなったか?」については今やっている国会の予算審議が終わった段階で一つの結果が出るはずなので、
それを以って改めて昨今のクラブ問題についての総括をしてほしいな、と思っています。