見る前にこれだけは知っておいた方がいい「アクト・オブ・キリング」

2014/04/19 15:58日記的な 映画 

やまー。

2014年のアカデミー賞ドキュメンタリー映画賞を受賞した「アクト・オブ・キリング」を見てきました。
各所で既に話題になっている衝撃作ですが、史実に基づいたドキュメンタリーなので
噂を聞いていきなり見るよりは多少予備知識が合った方がよいと思う情報をまとめます。


1965年、スカルノ大統領政権下だったインドネシアで軍事クーデターが勃発。スカルノ大統領は失脚して代わりに
スハルト大統領政権が発足。(ちなみにデヴィ夫人は失脚したスカルノ大統領の第3夫人)
スハルト大統領は粛清政治としてスカルノ政権の支持基盤だった共産主義影響下にあった一般市民を含む120万人を虐殺しました。

映画「アクト・オブ・キリング」はその虐殺を行った本人が自ら出演して、当時の様子を振り返っています。
実は虐殺を指導した政権は現在も続いているので、彼らはある意味「建国の志士」であり英雄。
自分たちが行った虐殺の方法を再現するシーンをカメラ前で非常に意気揚々と演じています。

この映画の監督ジョシュア・オッペンハイマーは、最初は虐殺の被害者側を撮影するつもりだったのが、
出演交渉が難航したため(←出演することで殺される危険もあるので当然といえば当然)に加害者側を撮る方法に変えたんだそうです。
(時々「ジョシュア!」と呼びかけるシーンが出てきますがこれは監督の名前です)

映像的には虐殺の様子を芝居仕立てになっている部分とそのオフカットで出演者たちが話している当時のエピソードが
ランダムに織り交ぜられる形になっているので恐らくは、プロパガンダ映画として彼らの英雄伝を伝えるシナリオは別であったと思うのですが、
途中からそれが芝居部分なのかドキュメンタリー部分なのかがよく分からなくなってくる。

その他、映画の内容ついては下の町山智浩さんの解説が詳しいと思うので、時間がある人はそちらをどうぞ。


以下は僕の感想ですが、
見終わった後の暗く沈んだ気持ちがどうしようもなく拭えなかった。

映画館への入場待ちをしていると、前回上映を見た人たちが例外なく沈痛な表情で出てきたのを「??」と思って見てたんですが、
2時間後にはなぜそうなったのかがよーく分かった。
少なくともこの映画を見た後に「よっしゃ!これからパーッと行くか!?」と言う気分にはなれない。

この映画を見た誰もが感じる「悪いこと」である虐殺行為も立場や状況によっては「正義」が成り立ってしまって実際にやってしまう現実。
そこで何が起きたかは、芝居部分にもドキュメンタリー部分もメインのお話の部分よりも、その合間にふっと浮かぶ人の表情や
その場を支配する空気の中に一番表れていた気がして、とにかくそれが恐ろしかった...。

あと、これって今現在でも起きていて、この先も起こりうる話なんですよね...。

鑑賞後にみんなで色々語り合うタイプの映画でもないと思うので、それだけにたくさんの人がこの映画を見られるといいなぁと思いました。

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