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レポート

“私たちの生み出した曲たちは時を超えて” アイドルネッサンス解散ライブ「ヨコハマで感謝するネッサンス!!」レポート

8人組アイドルユニット、アイドルネッサンスが2018年2月24日(土)に横浜ベイホールで解散ライブ「ヨコハマで感謝するネッサンス!!」を開催した。(photo by 曽我美芽)

2018年1月20日、アイドルネッサンスから発表された突然の解散の報。2017年秋にはディファ有明でのワンマンライブがソールドアウトするなど、着実な成長を遂げているように見えていただけにその発表はファンのみならずアイドルシーンに大きな動揺と衝撃を与えた。

それから約1ヶ月後の2月24日。解散ライブの会場となった横浜ベイホールにはアイドルネッサンスの解散を惜しむ多くのファンが駆けつけ、来場できないファン向けに動画配信サービスSHOWROOMではライブの様子が生配信がされた。

会場のロビーにはアイドルネッサンスのこれまでの衣装が展示され、エントランスへの階段を上がった先にはメンバー勢揃い大きなパネルがファンをお出迎え。さらに入場時に手渡された”アイドルネッサンス”の文字が1文字ずつ書かれたカードの裏にはメンバーとスタッフからの直筆メッセージが記されていた。ソールドアウト公演となったラストライブの来場者は約1,000名、その全員に手書きという異例とも思える感謝のメッセージには解散への”様々な想い”が込められているように思えた。

アイドルネッサンスというと、1950年代から2010年代までの名曲をパフォーマンスする”名曲ルネッサンス”をコンセプトとしてきた。そのレパートリーは全75曲に及び、昭和のフォーク・歌謡曲から現代のロックやポップチューン、さらにはボーカロイド楽曲も網羅し、誰もが一度は耳にしたことがある有名曲から、音楽ファンだからこそ知り得る隠れた名曲まで、その選曲眼の確かさも多くのファンを楽しませてきた。

この日のライブでは、ファンから寄せられた事前のリクエストを元に”名曲ルネッサンス”の数々にオリジナル楽曲を含む全25曲を披露。その中には最後の”名曲ルネッサンス”のタイトルとして披露されたBase Ball Bearの「changes」も含まれていた。

ライブの冒頭から会場全体を揺さぶるような大歓声に包まれていたアイドルネッサンスのラストライブ。オープニングの「ミラクルをキミとおこしたいんです(サンボマスター)」(カッコ内はオリジナル楽曲のアーティスト)から9曲目の「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう(岡村靖幸)」までは、これまでの歴代衣装をそれぞれにまとってのパフォーマンス。アイドルネッサンスには途中からの加入となった原田珠々華と野本ゆめかは、今まで着ることができなかった加入前の衣装に初めて袖を通せたことに喜びの声を上げていた。

ライブの中盤、全員がセーラー服に着替えてステージに再登場し、リクエストの中でも特に数が多かったという8曲を連続で披露する。その8曲はこれまでのライブの中でも重要な役割を果たしてきたアイドルネッサンスの定番楽曲が集中していたが、その中に前述の昨年秋のディファ有明ワンマンでお披露目されたばかりの「若者のすべて(フジファブリック)」が入っていたことがとても印象的でファンのリクエストをリアルに表していることを思わせた。

アイドルネッサンスが活動の中心としてきた”名曲ルネッサンス”は、常にオリジナルを愛するファンたちからの厳しい批評の目にさらされることは避けて通れない。ステージ上では笑顔とキラキラとしたパフォーマンスに溢れていたメンバーたちも解散にあたっては”楽しいことばかりじゃなかった”という言葉が目立った理由には”名曲ルネッサンス”への重圧もあったのかもしれない。しかし、原曲へのリスペクトを常に欠かさないことと、ひたむきなパフォーマンスの積み重ねが過去の名曲たちを”アイドルネッサンスによるもう一つのオリジナル”にしていった4年間の活動だったようにも思える。

ライブはその後、メンバーの比嘉奈菜子が初の振り付けを担当した「changes(Base Ball Bear)」から始まり、「恋する感覚(Base Ball Bear Feat.花澤香菜)」「Music Lovers(The Jerry Lee Phantom)」「YOU(大江千里)」「君の知らない物語(supercell)」「前髪」と、アイドルネッサンスをまさに象徴するような楽曲群を固め打ちにするパートへ突入する。
ここまでのライブを見る限りこれが最後とは到底思えないいつもと変わらない笑顔と元気に満ち溢れたパフォーマンスを繰り広げていたアイドルネッサンスだったが、見守るファンの中には満を持したかのように披露されたこれらの楽曲の登場がライブの終了とアイドルネッサンスの解散が近づいてきていることを察した人もいたかもしれない。

そして、ついにやってきてしまったライブの最後を前に、メンバー一人ひとりがメッセージを語る。メンバー、家族、地元、ファン、アイドル、そしてこれまでの活動への感謝を伝えたり、自前の持ち芸で最後に大喝采を浴びたりと、個性豊かな8人が語る言葉は人柄が表れた様々なものだったが、笑いと涙が同居したようなメンバーとファンとの関係は、アイドルネッサンスというアイドルグループのそのものを表しているようにも思えた。

そして全員のMCが終わるとライブは、アイドルネッサンスにとって始まりの曲「17才(Base Ball Bear)」でフィナーレを迎える。グループを象徴する白のサイリウムが会場を埋める中、堪えきれない涙声もそのままに最後のパフォーマンスをファンに見せてステージを去った後、鳴り止まないアンコールに再び姿を見せた8人は「みんな一緒に歌えますか!?!?」の宮本茉凜の掛け声に応えて会場全体で改めて「17才」を大合唱。
全ての演目を終えたアイドルネッサンスが来場者と配信を見ていたファンに向けて深々と頭を下げるとファンからは惜しみない拍手がおくられた。その長いような短い餞(はなむけ)のひと時が終わるとメンバーの8人は会場を埋めた隅々のファンたちに笑顔で手を振り、最後は記念撮影でラストライブのステージから去っていった。

この公演をもって4年間の活動を締めくくったアイドルネッサンス。今まで数多くのアイドルの解散ライブがあった中で、このライブほどグループが持つ確かな”余力”や”伸びしろ”を感じさせた解散ライブは見たことがなかった。

“名曲ルネッサンス”という果敢な試みが道半ばで途絶えてしまったこと、そしてこの先オリジナル楽曲とともに紡がれていったかもしれないアイドルネッサンスの新たな物語を見届けられなかったことは残念としかいいようがないが、MCで最後に石野理子が語った「私たちの生み出した曲たちは時を超えてたくさんの人に愛されていって欲しい」の言葉の通り、アイドルネッサンスが歩んだ4年間の軌跡とその思い出がいつまでも語り続けられることを心から願いたい。

それはこの先それぞれの道を歩んでいくメンバーたちにとって、アイドルネッサンスでの4年間がいつまでもキラキラと輝いた青春の1ページであり続けるように。

アイドルネッサンス「ヨコハマで感謝するネッサンス!!」セットリスト
2018年2月24日@横浜ベイホール
1.ミラクルをキミとおこしたいんです(サンボマスター)
2.夏の決心(大江千里)
3.Blue Love Letter
4.Good day Sunshine(SAWA)
5.6AM(堂島孝平)
6.太陽と心臓(東京スカパラダイスオーケストラ)
7.手を打ち鳴らせ!!(THE イナズマ戦隊)
8.The Cut(Base Ball Bear feat.RHYMESTER)
9.あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう(岡村靖幸)
10.交感ノート
11.若者のすべて(フジファブリック)
12.5センチメンタル
13.愛はおしゃれじゃない(岡村靖幸 w 小出祐介)
14.金曜日のおはよう(HoneyWorks)
15.トラベラーズ・ハイ(スキマスイッチ)
16.シルエット(KANA-BOON)
17.Funny Bunny(the pillows)
18.changes(Base Ball Bear)
19.恋する感覚(Base Ball Bear feat.花澤香菜)
20.Music Lovers(JERRY LEE PHANTOM)
21.YOU(大江千里)
22.君の知らない物語(supercell)
23.前髪
24.17才(Base Ball Bear)
en1.17才(Base Ball Bear)

リンク
アイドルネッサンス オフィシャルサイト http://idolrenaissance.com/
アイドルネッサンス オフィシャルtwitter https://twitter.com/idolrenaissance
アイドルネッサンス YouTube https://www.youtube.com/user/idolrenaissanceSMA

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