1ヶ月ほど前になりますが、2024年11月3日から4日にかけて開催されたSOMOSOMOの24時間イベント「24HOURS SOMO」に行ってきました。
アイドルがやる24時間イベントは数こそ多くはないものの、時折り目や耳にするエクストリームなライブ企画。その多くはCDのリリースやメジャーデビューのようなここぞ!というタイミングで開催されることが多い気がします。僕自身も過去に何度か24時間イベントに立ち会ったことがあるのですが、いずれも”そういうタイミング“で開催されいたイベントでした。
ところが今回のSOMOSOMOの「24HOURS SOMO」は、グループにとって節目となる発表ごとがあったわけではありません。そうなると当然思ってしまうのが「なんで24時間?なんで今?」という疑問。
長年アイドルを見続けているとこういう余計なことが頭に浮かんでしまう自分が軽く嫌になりますから、仮に大きな理由がなかったとしても「SOMOSOMOの24時間イベントはなんだか面白そう」に思えたので会場になった四谷LOTUSへ向かうことにしました。
「24時間で1時間ライブを10本!」試練でしかないその内容
メンバー、スタッフ、お客さん、そして会場含めたほぼ全ての人にとって初めてのチャレンジとなる24時間イベント。オープン前の四谷LOTUSはドキドキとワクワクが入り混じった不思議な空気が漂っていました。そしてオープンの直前、SOMOSOMOメンバーとサカイPが円陣を組んで気合の一声。長きに渡る「24HOURS SOMO」がいよいよ幕を開けることになったのですが、その主な内容というのは1時間のライブを計10本というもの。
「24時間で10回しかライブやらないの?」という声がSNSでは上がってたみたいですが、普通のアイドルさんの対バンライブはだいたい25〜30分。週末のイベント出演が多くても3本が限界と考えると24時間で1時間ライブx10というのはちょっと異常。24時間のおよそ半分をライブで過ごすことになるので、これを完走するには体力面と精神面の両方での相当なタフネスさが必須の条件になります。
24時間イベントの大変さを知っている僕からすると「馬鹿じゃないの!?」という内容だったのですが、こういう無茶をやるアイドルさんが最近は少なくなってきているし、SOMOSOMOにとっても初となる24時間イベントは、「SOMOSOMO、24時間やれんの!?」を確かめる試金石的なイベントに思えていました。
そんなタフさの一方で、リアルに少し懸念していたのは「飽きちゃわない?」ということ。単純に一回々々のライブが長いし、24時間の中では当然同じ曲を何度もやることになります。実際のタイムテーブルでも歴代衣装でのライブやアルバムタイトルやレア曲限定のセットリストなど趣向を凝らしたライブが準備されていましたが、それでも1時間x10本のライブは見る側の集中力も求められる気がしていました。
ところが、いざイベントが始まってみるとどの1時間も楽しめてしまうのがSOMOSOMOのライブ。24時間イベントに挑んだ背景には「今、最も高出力なライブができるアイドル」なSOMOSOMOのステージで発揮する地力と底力があってこそな気がしました。
2日目の朝に再び湧き上がる疑問「なんで24時間?なんで今?」をサカイPに聞いてみた
イベントの初日、僕は終電に合わせて一度会場を後にし、翌朝始発で再度四ツ谷LOTUSに戻ってきたのですが、着いてすぐに目に飛び込んで来た光景はメンバーがフロアに降りファンと混ざり合いながらライブをしている光景。ともに一夜を明かした一同がハイテンションで歌い応援している姿がそこにありました。
この時点でイベントが始まってから14〜5時間近くが経過していましたが、傍目にはここまで大きなトラブルもなく進んでいるように見える「24HOURS SOMO」。なんとなくですがこのままフィナーレを迎えそうな雰囲気も漂ってきていました。無論、過酷なイベントなので無事にゴールできることが何よりではあるのですが、今のSOMOSOMOとサカイPが「しんどかったけど無事に終わったからオッケー!」で終わるイベントを仕掛けると思えません。順調に進んでいればいるほど、最初の疑問である「どうして今?」が気になってしまい2日目の朝のタイミングで今回のイベントを企画した理由をサカイPに尋ねてみることにしました。
その答えを要約すると以下のようなものでした。
SOMOSOMOは外からの印象とは違って、実は守られながら活動してた部分も多いグループだった。おそらくそれは家庭環境的なことも含めての話で、メンバー個々人が厳しい環境に置かれる経験というのがあまりなかったんじゃないかと思う。そんなSOMOSOMOには「厳しい環境を乗り越える」という機会が必要だった。
正直、僕にとってはとても意外な答えでした。
「全身全霊で、はしゃぎ倒す」がキャッチコピーになっているSOMOSOMO。その言葉の通り常に全力で熱くパワフルなライブを繰り広げられるようになったのは、過去の厳しい局面や逆境を乗り越えてきたからなんだと思っていました。
今回のイベントの前に開催したトークイベント「SOMOSOMO力学」ではサカイPにSOMOSOMOの成り立ちとこれまでについても話してもらいましたが、これまでの活動が必ずしも順風満帆という訳ではなかったという話も語られていました。そんなSOMOSOMOを取り巻く環境が「守られていたもの」であり、しかもそれがサカイPにとって「克服すべき課題」となっていたことはこの時初めて知ったSOMOSOMOの実情でした。
徹夜明けと疲労のピーク。泥のように重い時間が過ぎる2日目の午前
そんなサカイPの話を聞いていたのが午前8時ごろ。「24HOURS SOMO」はいよいよ終盤へと向かっていきました。僕の経験上24時間イベントで一番キツいのは2日目の午前中9時〜12時ごろ。それを越えるとゴールに向かって最後の気力を振り絞ることができるのですががその前の数時間がとにかく長く時計の針も嘘みたいに進んでいきません。
実際、そのころの四谷LOTUSは泥に埋まったような重たい空気が漂っていて、特典会中や次のライブまでの僅かな時間にもフロアに腰を落としてうなだれているお客さん、机に突っ伏しているスタッフさんの姿も目にしました。しかもそれはSOMOSOMOメンバーたちも同様で、ライブ中こそ気力十分に見えていましたが、楽屋でのメンバーの表情は重く疲労を隠す余裕もないほどの様子が見て取れました。
そんな状態でもライブが始まる頃になると全員がむっくりと動き出して次の60分ライブへと向かっていく。そこにはスマートさのかけらもありませんでしたが、それだけに24時間イベントの真の姿が出ていたように思いました。
「各メンバーがイメージするステージ」10本目のライブはメンバーからの意思表明
午前中にサカイPに話を聞いていた時に「最後はどうするんですか?」と24時間の締めくくり方についても質問もしていました。その時にサカイPが教えてくれたのは「各メンバーがイメージするステージをみんなの前で発表させる」というものでした。
正直この答えにも実はあまりピンときてなくて「なるほどー」という非常に曖昧なリアクションしかできませんでした。普通に考えたら最後に全員で合唱するとか、24時間を完走した”みんなが一つになれる何か”が一番分かりやすいと思っていたのですがサカイPが言う「各メンバーがイメージするステージ」からは全員が一つになって…という画はあまり想像できません。
一体どういうフィナーレを迎えるんだろう…と思いながら見ていた9本目のライブでしたが「これが終わったら次がラスト」という現実味がいよいよ迫ってきたのか、急激にライブのエモーションが高まって来ているのを感じました。
そんな昂った雰囲気が漂う中で9本目の特典会も終了し、残すはいよいよ最後10本目のライブとなりました。その準備に入る前にメンバーとお客さんの全員がフロアに集合、メンバーにはスタッフさんから紙とペンが渡されました。
おそらく前述したサカイPのプランはこのタイミングでメンバーに共有されていたんじゃないかと思います。指示を受けたメンバーたちのペンの進むスピードが全員バラバラでしたし、書き終えてなお不安そうな面持ちのメンバーも何人かいました。そして発表された10本目のライブに挑むメンバーののイメージは以下の通り。
アオイ アオネ「そももんで満員のO-EAST」
コモレビ ヒヨリ「何歳になってもライブをし続ける(この7人で!!)そんな私達!!!」
アルティメット ミキ「路上ライブ」
ツクヨミ ケイコ「わたしがアイドルをやめる日のライブ」
ゴゴノ コトコ「最初と最後」
トマラナイ チヒロ「モンアイツーマン」
シャンシャン マイ「紅白歌合戦」
出された答えは本当に様々で、読んですぐに理解できるものもあれば補足説明が必要なものもありました。サカイPが求めていたのが”10本目のライブへの意気込み”ではなく”メンバーそれぞれがイメージするステージ”だったことが、答えの幅の広さにも表れていたと思うのですが、この問いにはSOMOSOMOのメンバーである以前に一人のアイドルとしての自らのあり方、それを踏まえた上でSOMOSOMOとの向き合う気持ち、そしてメンバー個人々々の現在地が映し出されていたように思えました。
そしてそれはSOMOSOMOというグループ自体の現在地でもあり、バラバラな答え(≒個性)を受け入れた上で成り立っているSOMOSOMOというグループの姿勢も表れているように思えました。
そしてそれぞれのステージとそれぞれの想いを乗せた10本目は、まるで1本目のライブを思い出させるような勢いとエネルギーを放っていました。それに応えるファンの声援も同様で、これまで23時間を走り続けてきたそれとは思えません。イベントのスタートと同時に回っていたタイマーもライブの終盤でついに24時間を超え、最後はSOMOSOMOの始まりから歌われてきた代表曲「ミーチューグッモー!」でフィナーレを迎えました。
24時間を終えてSOMOSOMOに何が残るのか。SOMOSOMOは何を残すのか。
かくしてSOMOSOMOの24時間イベント「24HOURS SOMO」は大団円のうちに終了。そのままたくさんの人が倒れ込んでしまうような状況になるのかと思いきやこれが意外とみんな元気そうで、ファンの何人かはイベント終了後に打ち上げへと出向いていたようです(←信じられない)。
「力強く最後まで走り抜いた24時間」というのが正直な感想でした。もしかしたらSOMOSOMOをリアルに追い込むには24時間でも足らなかったのかもしれません。
「『24HOURS SOMO』が終わった後、SOMOSOMOに何が残るのか。何を残すのか」
今回の企画を通じてずっとそんなことを考えていました。
馬鹿な企画、過去に他のアイドルもやった企画であったとしても、そう簡単には真似ができないのが24時間イベント。それを乗り越えたSOMOSOMOにとって大きな経験と実績となったのは確かです。
「守られたSOMOSOMOに与える試練」とサカイPは話していましたが、もはやその達成感の共有だけでは物足りなくなっているのが今のSOMOSOMOです。
「24HOURS SOMO」をやり切った、それ以上にSOMOSOMOに残ったものや手にしたもの…もしかしたらそれは”より高いステージへ向かうための挑戦権”ようなものだったんじゃないかと思いました。
先日、ラジオ「アイドル第四会議室」にアルティメット ミキさん、ツクヨミ ケイコさんに出演していただいた際、SOMOSOMOのこれからの目標を「GANG PARADEとの2マンライブ」と答えていたのがとても印象的でした。
事実、最近のSOMOSOMOの活動を見ているとその実現に向けて歩んでいるように思えます。そして、もしその2マンが実現した際、GANG PARADEの相手として相応しい自分たちであるために、そのステージに胸を張って立っている7人でいるために、この24時間は避けて通れなかった。そう考えるとスッキリ腑に落ちるところがありました。
もうひとつ、2024年12月15日(日)に日比谷野外音楽堂で開催されるライブイベント「NEW AGE」。SOMOSOMOがそのイベントの核となるグループであることは間違いありません。そんな新しい時代を切り開いていくアイドルたちの仲間であり、ライバルであり続けるためにやはり24時間ライブが必要だった。そう考えるとさらに納得感がありました。
SOMOSOMOが向かう次のステージ、そして2025年には一体どんな未来が待っているのか。期待通りの大活躍?それとも悪戦苦闘の日々?いずれの未来だったとしてもこれからもSOMOSOMOが全身全霊ではしゃぎ倒し続ける様をこの先も追い続けていきたいと思った、そんな「24HOURS SOMO」でした。