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アイドル第四編集室

ハチ公前でチラシ配りができなくなるって本当なの?

本記事は2025年4月1日に施行される「渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例の改正について」を読んだ非法律家が超解釈した文章です。4/1以降に「書いてあることと違うやんけ!」となっても誰も責任は持てないことを理解した上でお読みください。

「2025年の4月以降ハチ公前でチラシ配りやチケット販売ができなくなる」という話がSNSに流れてくるのを見ました。なんのことだろう?と思って調べてみたところ渋谷区が公布した条例「渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例の改正について」についての話のようです。

ハチ公前でのチラシ配りはもはやアイドルの風物詩(?)。それができなくなるのは一大事と思い、当の条例を調べてみました。

ハチ公前のチラシ配りの現状

某日の渋谷ハチ公前の様子(この日もチラシ配りをする人がたくさんいました)

渋谷のハチ公前広場でアイドルがチラシ配りをするようになったのはいつ頃からでしょうか。僕の記憶だとコロナ前には既にやられていたような記憶があります。デビュー前のアイドル、大きなイベントやワンマンライブを控えているアイドルがハチ公前を行き交う人たちに自分たちのグループのチラシを配ってPRするというゲリラ的なプロモーション活動で、このハチ公前以外の場所でもこうした活動はあるのですが、アイドルがライブが日常的に行われている上にアイドルファン以外の人たちも多く行き交う渋谷という街はこうした活動に格好の場所といえます。

実際に僕も渋谷にライブを見に行く際にはチラシをもらうこともありますし、そのチラシをきっかけにライブに行くことやライブを見て気に入ったグループのチラシを以前もらっていた、というケースは決して珍しくありません。そんなアイドルのチラシ配りの聖地と化していた(?)ハチ公前広場ですが、現在はアイドル以外にもメンズ地下アイドルさんやホストさん、その他何らかのPRをしている方たちもチラシ配りやアンケートなども加わっており、かなりカオスってるなぁという印象はありました。

条例改正の目的に書かれている”客引きの防止”の言葉

今回の条例は渋谷区のホームページに掲載されているので誰でも見ることができますが、その冒頭には以下の文章が掲載されています。

渋谷区内における客引き行為等を防止することにより、区民および来街者の安全の確保および快適性の向上を図ること

「客引きの防止」としっかり明記されているのが気になりますね。うーむ。

条例が施行されるとできなくなること(違反行為)

この改正条例ではいくつかの行為を”違反行為”として明記しているのですが、それが施工されることによって今後アイドルさんたちは何ができなくなるんでしょうか?それらを条文から読み取れる範囲で解説していきます。

1)ライブやイベントへの勧誘

(条文)1 客引き行為 通行人その他不特定の者の中から相手方を特定して客となるように誘う行為。

この「客となるように誘う行為」が何なのか?がポイントだと思うのですが、チラシを渡した相手に「ライブのチケット買ってください〜」と話す行為は客引きとみなされるんじゃないかと思います。
(となるとチケットやグッズの販売などはもってのほか…というかそもそもこの条例の改定前の条文の時点で”物品の販売”は禁止されているので、これまで行われていたチケットの販売もかなりグレーだった可能性があります。)

2)SNSのフォローなどを求めること

(条文)3 勧誘行為 通行人その他不特定の者の中から相手方を特定して役務に従事するように誘う行為。

「役務に従事するように誘う行為」と「客引き行為」の何が違うかはかなり微妙ですが、「役務に従事するように誘う行為」を”人に何かさせること”と解釈すると、アイドルさんからチラシを配るのと同時によく言われる「SNSフォローしてください」は役務への従事を誘ってる気がします。SNS以外でもフォームから何かに登録させるとか、QRコードを読み込ませる等の行為もたぶんそれに該当するのではないでしょうか。

3)ファンの方から声をかける行為もダメ

さらに違反行為となる条文の2には「客待ち行為」、4には「勧誘待ち行為」も違反と明記されています。これはアイドル側から客引きや勧誘する行為だけではなく、ファンの方からアイドルに声をかける行為(=アイドルが声をかけられるのを待つ行為)も違反と明記されています。

「私は客引きしてないんです。歩いてる人からたまたま声をかけられて話してるウチにチケット買ってもらえることになっただけなんです。」という言い逃れはできませんよ、ということですね。

その他の違反行為

その他に違反行為の条文5には「条文1から4の行為をさせること」、6には「客引き行為を受けた者を客として受け入れること」、7には「勧誘行為を受けた者を受け入れ、役務に従事させること」も違反行為とされています。

条文5は、チラシ配りをしているアイドルだけでなく、それをさせている人(≒運営?)も違反に当たるということ。条文6と7は、客引きや勧誘行為だけじゃなくその相手を受け入れることも違反とされています。

違反行為をしてしまうと…

これらの違反行為に対して渋谷区は「質問」「立入調査」「指導」「勧告」「過料」「公表」「通知」ができる権限を持つ、と条文に書かれています。各項目の詳細はホームページを見てもらうとして、「立入調査」「過料」「公表」があることは結構強い抑止効果がある気がしています。

実はハチ公前だけじゃないんです…

今回の条例が適用される場所ですが、実はハチ公前だけではありません。

渋谷区ホームページ「渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例の改正について(令和7年4月施行)」より

この地図によると渋谷についてはほぼ全域、加えてライブハウスが多い地域でいうと原宿、恵比寿、代官山周辺も該当地域に含まれているので見落としがないよう注意が必要です。

チラシを配るだけだったら…できるの??

この条文を読む限り「現状やっていることはほとんどできなくなるじゃないか」と思う人がほとんどだと思うのですが…たぶんそうなのでしょう。

ただし、今回の条例で違反行為と明文化されているのは「客引き」「勧誘」「誘う行為」なので、純粋にチラシを配るだけの行為(=それ以外のことは何もしない)であれば引き続きやっても大丈夫な気がします。

例えば、(最近はあまり見なくなりましたが)街頭でのティッシュ配りは「ティッシュを配る〜受け取る」以外の行為は起きていません。さらに条文の中には違反行為となる条件として「通行人その他不特定の者の中から相手方を特定して…」という文言がはいっているので、ティッシュ配りのように不特定多数の人にティッシュを配布しているのであればティッシュの裏に客引きや勧誘に相当する広告が入っていてもOKとなるのでしょうか?あるいはそれがティッシュではなくチラシだったとしても”不特定多数の人”が対象で”客引きや勧誘を誘わない配布”であればOKという気がするのですがどうなんでしょうか??

果たしてチラシを配った際にライブのことも伝えられないし、SNSのフォローもお願いできない行為がプロモーションとして意味や効果があるのか?と問われると判断が難しいのですが、チラシ配りそのものを禁止する条例ではないというのが個人的な解釈でした。(←より正確な解説ができる人がいたら補足をお願いします。)

条例が施工されたら…新しいプロモーションを考えるしかない!

…と、いう感じの条例が4月1日から施行されることになるのですがいかがでしょうか。
先日、たまたまハチ公前でチラシ配りをしているアイドルさんの何名かとしっかり話をする機会があったのですが、運営さんからの指示ではなく「自主的にやってます」という人が多かったのが意外でした。そんなアイドルさんたちにとって自力と努力で可能性を見いだせる宣伝方法が減ってしまうのは厳しいところかもしれませんが、条例の施行自体は決まっているので違反行為に当たらない範囲でチラシ配りをするか、別の新しいプロモーション方法を考えるしかないかな?と思っています。

ちなみに僕が運営しているラジオ番組「アイドル第四会議室」では番組内で流す曲のリクエストを随時受け付けています。アイドルさんからの自薦も可能ですので下記のフォームからぜひお送りください。「記事を読みました!」と書いていただいた2025年3月いっぱいのリクエストは極力番組で流すようにしますので、この機会にぜひリクエストを送ってみてください!

▼ ラジオ「アイドル第四会議室」ふつおた・楽曲リクエストフォーム
https://forms.gle/7oidmYVzd45RSrE36

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