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橋爪もも アルバム「本音とは醜くも尊い」インタビュー

2019年4月17日(水)にメジャー1stフルアルバム「本音とは醜くも尊い」をリリースした橋爪もも。ロリータファッションに身を包んだ彼女から紡がれる音楽は鬱屈とした物語的な世界観をもって現代社会を透かし見る。
自らの衣装を手がけるたけでなく、BELLRING少女ハートやSTARMARIEなどのアイドルへ衣装提供も行うなどユニークなキャリアも持ち合わせている。
そんな橋爪ももへの初インタビューは、アイドル、ファッション、MV、音楽、歌詞etc…様々な角度から彼女の本質を探るインタビューとなった。

ベルハー、STARMARIEへも衣装提供。ロリータ・ファッションを愛するSSW橋爪ももとアイドルの意外な?関係

――橋爪さんにインタビューをさせていただくのは今回が初めてなんですが、実は以前BELLRING少女ハートのイベントに出演していたライブを見ていまして…

橋爪もも(以降、橋爪)わー。嬉しいです。

――先日ライブを見させてもらった時、声には聴き覚えがあったんですけど何処で見たかを思い出せなくて…。ギターに名前をつけているというMCを聞いて “あの時の人だ!”と思い出せました。

橋爪(笑)

――その時のギターは”白井さん”と紹介されてました。

橋爪そうですね。二代目が“白井さん”で、今は三代目で”髭丸”と言います。

――そんなご縁があった方に今回インタビューさせていただけるので、とて嬉しいです。

橋爪こちらこそです。

――このサイトではアイドルのファンの方やアイドルさん本人が見られることが多いので、まずは橋爪さんとアイドルとの接点についてから話を伺えますか。

橋爪弾き語りの活動を始めてから色んなライブに出させてもらったんですが、その中にアイドルライブもあって。1つのイベントに10組以上が出演するような。そこでたくさんの方と会うことができました。もちろんアイドルさんとも仲良くさせてもらったんですけど、私が当時から弾き語りだったのもあってライブの縁でつながるというものは少なくて。ただ、その当時から自分で作った衣装を着て活動してたので、「自分で衣装を作ってるんです」って話をしていたら衣装の方でのご縁が生まれて今に至っています。

――それの一番最初がベルハー(BELLRING少女ハート)だったんですか?

橋爪最初は個人でアイドルをしている方の衣装を作ったりもしていたんですけど、それ以外だとベルハーさんが最初だったかもしれません。

――学生服をアレンジして羽根をつけて…

橋爪あれはアレンジではなくて1から作ったんです。衣装のイメージや実際の羽を使うなら予算的にどれくらいつけられるか、とかプロデューサーさんの原案イラストを元にたくさん話しをしたり、こちらからもたくさん提案させてもらいました。当時は5〜6人分?ぐらい作りましたね。

――なるほど。

橋爪”黒いカラス”というテーマで、踊っているうちに羽根が抜けて彼女たちがボロボロになっていく過程も見せられたら…というお話もあって、作るのはかなり大変だったんですがすごく喜んでいただけました。

――アイドルの衣装を作るという作業はいかがでしたか?

橋爪楽しかったです。学校でオートクチュールを学んで、個人々々に合った身体のサイズで衣装を作っていたので、まずはアイドルさんの身体を計らせてもらうところから始まって。その時はベルハーの子たちがまだ14歳?とかだったので、そんな子たちにメジャーを通すってだけでドキドキしてしまって(笑)

――僕が以前見たライブでもその話をしてましたよね。「興奮しました」って。

橋爪言ってました(笑)思わず手が震えてしまうぐらい。

――で、そのエピソードを話した直後にやった曲が「謝罪文」という曲で(笑)

橋爪そうでしたね。MCは曲に入る前に枕詞は絶対に作るようにしています。でも、個人的にはその「謝罪文」を演奏する前にみずほちゃんが後ろの方から「今の私も計って!!」って叫んでくれたのがすごく印象に残っています。

――その「謝罪文」もそうですし、その後に「甘い娘」という今回のアルバムにも収録されている曲も歌われてて。あの曲は女の子同士の同性愛の歌じゃないですか。そのライブの時は気づけなかったんですけど、アイドルと共演する時に自分が何を見せられるか?というのをすごく考えられていたんだな、と今回の取材の下調べをしながらすごく気付かされました。

橋爪実は今の音楽的な方向性からすると「甘い娘」という曲はアルバムの中でも1曲だけかなり雰囲気が違うんです。でも、そのライブの時にあえてその「甘い娘」を入れたのは、少女性の脆さ危うさというのは応援しているファンの方にも届くかな?と思ってセットリストに入れてみました。結構勇気がいりました(笑)

――あとロリータファッションが好きなアイドルもたくさんいますよね。

橋爪ロリータ衣装というのは、着ることで自信のない自分をカバーしてくれたり、着ることですごくテンションが上ったり、精神的に侵食してくる服だと思っているんです。だからロリータ服が好きって言っているアイドルさんが多いし、着てみたいって子も多いと思います。

――男性から見てファッションとして面白いとか、女の子が可愛らしく見えるというのは分かるんですが、理解ができてないところもあるような気がして。橋爪さんはロリータファッションのどういうところに惹かれて好きになったんでしょうか。

橋爪思春期の頃の話に戻ってしまうんですけど、今まで生きてきた中でまず友達があまりいなかったんですね。外に遊びに行くこともできずに、でも”何かしたい”と持て余したエネルギーをどこに発散しようか?って日々思っていた時に、偶然出会ったのが「KERA」という雑誌だったんです。そこで”クラシカル・ロリータ”にすごく惹かれまして。でも、その時はお金がなくて着ることができなくて自分で作りだしたのが始まりでしたね。普段の私は自信がないんです。表に立つのも苦手だし人前で話すのも苦手。そのはずなのに初めて袖を通した時に感じたんですけど、ああいった派手な格好をすることで自分に自信が持てたというか。自信のない橋爪ももから、自信を持っている”誰か”になれた気がして。そこからロリータ服を着るとスイッチが入る人間になっていました。なので、たぶん10〜20代の子が着ても似合うファッションだと思うんですけど、たぶん私は60代になってもロリータを着てると思います。

 

「こんなアンダーグラウンドなアルバム出していいんだ!?」 -橋爪ももの”本音”が詰まった1stフルアルバム「本音とは醜くも尊い」-

――「バレリーナ」のMVについて話を聞かせてほしいんですが、どういう経緯でこの曲をMVにすることになったんでしょう?

橋爪アルバム全体の軸になっているのは「今更」という曲なんですけど、「今更」は縁の下の力持ちでファンへ向けた私の思い何ですが、表に立ってくれる曲は「バレリーナ」だなと思っています。バレリーナの立っているステージは、皆さんにとっての職場や学校に当てはめて聞いて欲しいですし、この「バレリーナ」という曲は私にとってもかなりストーリーを持っている曲なんです。なのでMVにする曲として選びました。そこから「バレリーナ」の世界を広げてくれるものってなんだろう?って考えた時に、MVで私の姿は出さずに絵本のような物語で補完していただこう、ということになりました。

――橋爪さん本人がMVに出られないのは意外に思ったんですが、ああいうストップモーションアニメで作ることになったのは?

橋爪今回イラストを描いてもらった近藤康平さんが「バレリーナ」をすごく気に入ってくださったんです。「この曲を聴いて僕はいろいろとイメージがが浮かんできました」って言ってくださって。しかも本当に偶然なんですけど近藤さんがワタナベサオリさんというストップモーションアニメを作られている方とコラボレーションしてみたいと思っていたところだったらしく、”是非お二人とやらせてください”ということで、色んな偶然や熱意が混ざってこういう形になりました。

――でき上がったMVを見てどんなことを感じられました?

橋爪とにかく素敵で色彩が美しいなと思ったのと、今回歌詞の中に”僕”という3人目の人物がいるんですけど、MVの中には”僕”は出てこないで完結しているんです。その辺りをすごく上手く補完してくださっていて、見る人によっては辛い終わりにも見えるし、少女のハグによって救われたって見える人もいるし、希望を持ってまたステージに向かうことができた…とか色んな見方ができて”力の抜きどころ”が素晴らしいなと。

――力の抜きどころ?

橋爪想像の余地を残すのがすごく上手だなと思いました。私自身には”こういうストーリーだ”っていう明確なものがあって曲作りはしているんですけど、MVを見ると”こういう解釈もある。こういう風にも受け取れるな”って自分自身も物語が広がっていく感じがしました。

――橋爪さんの歌詞はすごく物語的だと思っているんですが、書かれる時に意識していることはあるんでしょうか。

橋爪書く原動力になる出来事はあったりするんですけど、そこから一曲々々主人公を作って、その主人公の環境と人間関係等、設定を全て作った上で曲を書き始めるんですね。「夢現」と「公然の秘密」という曲に関しては短編小説みたいなものを書いてから曲作りをしました。なので物語っぽいって言っていただけるとその通りなのでありがたいです。

――曲や歌詞を書き始めたのはいつぐらいからなんですか?

橋爪いつだったんですかね…

――ロリータ服を着るようになった頃とリンクしてたりするんでしょうか。

橋爪結構内側に貯め込むタイプだったので昔のものを掘り返していると色んな物に言葉を残したりしてて。いまだにそれを頼りに曲を作ることはあります。1本の曲の歌詞として形にしたのはいつなんだろう…。2012年に入るくらいだったかな?って思います。

――その曲は今どうなってるんですか??

橋爪それが実は今回のアルバムに入ってまして…

――マジですか!?

橋爪(笑)

――どの曲ですか?

橋爪9曲目の「ヒーロー」が、私が音楽活動を始める上で一番最初に作詞作曲した曲なんです。今回アルバムを作るのにあたって、”こんなストック(曲)があります”って言ったらレコード会社の偉い方が”「ヒーロー」を入れよう”って言ってくださって。私の中ではいわゆる処女作だったので恥ずかしいし、これが選ばれるなんて思ってなかったので躊躇しました。でも、今回のアルバムに入れなかったら日の目を見ることがない曲だなと思ったので。

――今回のアルバムは全12曲という比較的大作だと思うんですが、その中に並んでいる「ヒーロー」はどんな風に見えますか。

橋爪並べて聴いた時に9曲目が「ヒーロー」で、10曲目が一番最近書いた「本音とは醜くも尊い」なので、聴き比べができるのと歌詞の内容もすごく変わったなと思います。「ヒーロー」は絶望で終わるんです。ヒーローになれなかったって終わり方をするんですけど、最近の曲はなれたかどうかはともかく”なりたい”っていう希望を持ったまま終わる曲が多いので歌詞の書き方も変わったなあっていうのが分かりますね。

――たしかに曲を聴いていると最後に世界が広がっていく感じの曲が多い印象があります。

橋爪いつも曲を書く時は、応援してくれる方やまだ会ったことがない誰か悩んでたり、落ち込んでる方に向けて曲を書いているんです。曲の終わり方やディティールを特定してしまうとその特定した状況の方にしか届かないと思ってて。最後は聴く方の受け止め方によってエンディングが変わるようにしています。ただ「バレリーナ」にはあまりにも救いがなかったのもあって。実は「バレリーナ」のストーリーの設定資料を書いていた時に、もう一曲生まれた曲がありまして…

――ほう。

橋爪それが11曲目の「天国への土産話」なんです。これは設定上では「バレリーナ」のラストの歌詞で”君を救わなければ”と手を差し伸べた誰かと、幸せになった後にかつての苦しかった自分を振り返って歌っているという曲なんです。

――僕、この曲すごく好きです。

橋爪ありがとうございます!

――「バレリーナ」がクラシックバレエを踊っている女の子の曲ですし、この「天国への土産話」もアルバムの中でも唯一三拍子のワルツになっているので、橋爪さん自身がバレエに特別な想いがあるのかな?と思って聴いていたんですが。

橋爪バレエを習っていた訳じゃないですし、「くるみ割り人形」の舞台を見に行ったりするくらいのお客さん程度です。「天国への土産話」についてはあくまで設定の話なので本当は先入観なく聴いて欲しいんですけど、「バレリーナ」のその後もう白髪混じりのおばあさんになった彼女がゆっくりロッキングチェアに揺れながら歌っているイメージだったので、四拍子というよりはまったりした三拍子の曲にしました。

――なるほど。自分の中で納得がいくお話が聞けてよかったです。

橋爪よかったです(笑)届いてますね。ホントに。ありがたいです。

――本当にいいアルバムだと思いますよ…ってインタビューで個人の感想ばかり話しちゃいけないんですけど(笑)

橋爪いえいえ(笑)私も歳を重ねていくうちにキャッチーなものを書かねばというか、より広く間口を設けたいという考えに変わっていく中で、逆に事務所やレコード会社さんが攻め攻めな姿勢だったのがびっくりしちゃって。”こんなアンダーグラウンドなアルバム出していいんだ!?”って(笑)

 

ロックを歌うSSW 橋爪ももから漂う”フォーク魂”

――コンベンションライブを見させてもらった時に、たしかレーベルの部長の方が「僕は橋爪ももをロックだと思うんですけど、橋爪は”私はフォークです”って言うんです」みたいなことおっしゃられてませんでしたっけ?

橋爪一応、自分でも私はロックだと思ってます(笑)フォークソングも聴いてたし、音源化はされてませんが、YouTubeに「今は猫」(←YouTubeにテキストリンクします)っていうガチなフォークソングもあるんですけど基本的にはロックに憧れてロックを歌っているつもりです。

――なるほど。ただ、橋爪さんご自身の中に”フォーク魂”を感じさせるものがあるんじゃないか?とは思うんです。今回のアルバムを聴いていても歌や曲を通じて社会を透かし見てる感覚があったので。その捉え方ってフォークソングにもつながるのでは?と。

橋爪たしかに歌詞を書く時にインスパイアされるきっかけがニュースだったりもするので、精神面ではそうなのかもしれないです。あと幼少期にさだましさんの曲がずっと流れていたので、そういった根っこの部分でのフォーク魂はあるのかもしれないですね(笑)

――ちなみに橋爪さんの中ではロリータファッションと音楽活動というのは一体化しているものなんでしょうか?

橋爪それが難しくてですね…。私自身もイコールになってないですし、周りから見てもロリータとロックがつながらないらしくて。ロリータファッションにも色々あって、私が着ているのはクラシカル・ロリータって言ってより上品さを追求したものなんです。ロックの荒々しさとクラシカル・ロリータの上品さはイコールにはなってないんですけど、私の中ではステージに立つために必要な服であり、自分を形成するものであり、切り離せないもので。それを好きにやらせてもらった結果が「ロリータ&ギター弾き語り」です。そこに整合性があるかは今も分からないです(笑)

 

“活動4年目の最初の一歩” -橋爪もも 2019年6月7日(金)初ワンマンライブ開催-

――では、最後にこれからのことについても伺いたいんですが、先日ワンマンライブの開催を発表されたようですが。

橋爪インディーズでCD出してから4年経つんですけど、初めてワンマンをやるんです。フルバンドで演奏するのも3年ぶりになってしまいまして…。ファンの方をかなり待たせました。

――おお。なるほど。

橋爪初めて3年前に自主企画をやった時に”もっとみんなと一緒にいたい!”って強く思って、その後もワンマンをやるために自主企画ライブを繰り返したんですけど、その間に離れていってしまったファンの方ももちろんいて。それはすごく苦しかったんですけど私の中でも小さな目標があって、私の音楽に携わってる方々が手を差し伸べてくれる環境になったらやるって決めてたんです。みんなの応援に応えるためにももっと広がっていく環境づくりをしなきゃいけないと思っていて、すごくゆっくりで待たせてしまった人や離れた人にも今さらごめんねなんて言えないんですけど…。でも、私には今このタイミングだったんだな、と思ってとにかく頑張る所存です(笑)

――もちろん今回のアルバムを聴いて橋爪さんを知る人もいると思うんですが、そういう人たちも含めてワンマンはどんなライブにしようと思ってますか?

橋爪今回のワンマンはアルバム「本音とは醜くも尊い」のリリースワンマンで、これまでの私の色んな想いは全部アルバムに入れているので、それを全部ぶちまけるライブにしたいなと思ってます(笑)そしてワンマンに来てくれる方、応援してくれる方に対して感謝を伝えたいですね。あと、4年も活動してて恥ずかしいんですけど、”最初の一歩”のライブになると思うのでこれから先のことも話せたらな、と思ってます。

 


1stフルアルバム「本音とは醜くも尊い」
2019年4月17日(水)リリース
TKCA-74781/¥2,778+税
▼ 収録曲
1.内包された女の子
2.バレリーナ
3.リセット
4.夢現
5.願い
6.公然の秘密
7.自己愛性障害
8.甘い娘(こ)
9.ヒーロー
10.本音とは醜くも尊い
11.天国への土産話
12.今更

橋爪もも レコ発ワンマンLIVE『-赤裸々-』
2019年6月7日(金)OPEN 19:00/START 19:30
渋谷TAKE OFF 7

橋爪もも「本音とは醜くも尊い」発売記念インストアイベント
2019年4月26日(金)19:00~ タワーレコード浦和店
2019年4月28日(日)13:00~ タワーレコード町田店
2019年5月7日(火)19:00~ タワーレコード武蔵小杉
2019年5月8日(水)18:30~ タワーレコード渋谷店5F
2019年5月9日(木)19:00~ タワーレコードアリオ川口店

新星堂presentsウタガアルセカイ Free Live in 三ツ境 vol.3』
2019年4月27日(土)12:00~16:00
相鉄ライフ三ツ境 3Fコミュニティスペース

リンク
HashidumeMomo Official Website http://hashidumemomo.com/
橋爪もも twitter https://twitter.com/HasidumeMomo

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