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”カミングアウト”に込めた意味。そして二丁魁が追い求めるアイドル像とは?

では、二丁魁さんのこれからについて聞かせて欲しいんですが、改名した名前に”魁”や”カミングアウト”っていう言葉を入れた理由は?

ミキティー“二丁目”は私たちが育った場所というかゲイが集まる街で、”魁”は”先駆け”とかけてるんですよ。だから二丁目から先駆けて新しい形としてゲイアイドルとして自分たちのことを世間に”カミングアウト”していこうっていうが意味が込められてます。

「言いたいことも言えないこんな世の中じゃん」という曲を作ったのもそれと絡んでるんでしょうか?

ミキティーそうですね。あの曲は元々歌う予定はなかったんですけど、ちょうどファンが増えてきたタイミングだったので自信を持って歌えるかな?と思って歌った歌です。私たちのファンにゲイがいないからあの歌に共感できるかが分からなくて。歌っていいのかも分からなかったんですよ。ただ、私たちが今までどういう風にカミングアウトをしてきて、その時どう思ったか、どういう経験をしたかっていうのを知りたいってファンの人がすごく増えてきたから、やっと自分のことをゲイっていう部分を歌にできたなって。

それまではそういうことをやるのに抵抗があった?

ミキティー怖かった。”なんでお前らのそんな話聞かなきゃいけないんだよ!”って感じになるんじゃないのかな?っていうのが。

ウチのスタッフに女の子が一人いるんですけど、その子が昔自分が好きだった男の人が実はゲイで、告白したんだけど受け入れてもらえなかったんだけど、それが分かってから今は友達になってるって…。

ミキティー二番の歌詞だね。

そうなんです。あの歌詞まんまの話を聞いたので”実際にそんな話あるんだ!?”って。

ミキティー超リアルだもんね。あの歌詞。

ぺいにゃむ一番から三番までの歌詞それぞれに当てはまる人がいるよね。男友達だったり、女友達だったり、親だったり…。

ミキティーでも、あの歌詞の内容はいい方の結末で、実際は”気持ち悪い”って言われたり、親に泣かれたりすることも全然あると思うから、私たちは恵まれててあの歌が歌えてるんだなって。自分たちの恵まれた状況への感謝も見直せる曲でもありますね。

「言いたいことも言えないこんな世の中じゃん」では身近な人たちにカミングアウトしていく話を歌われてるんですけど、これから先はそれをより外側の人たちに伝えていくことが二丁魁が色んな人たちに知られていくためのステップなんじゃないかと思うんですが。

ミキティーそうですね。私たちは名前の通りゲイアイドルを”カミングアウト”していくのがコンセプトなんですけど、でもそこには歌や歌詞を通して”ゲイも普通の人なんだよ”っていうことを伝えたいのが一番で。最初は”ゲイでもアイドルになれる”って、ゲイが少しでも生きやすい世の中を…ということを思ってたんですけど、今はそんな大きいことが言ってられないぐらい目の前のことを一つ一つこなしていかなきゃいけなくて。だからあんまりゲイのシーンがどうのこうのとか、自分たちがゲイだからとか、そいういう大きいことってのはまだずっと先なんだなって考えてます。今はまずゲイアイドルの”アイドル”っていう部分に対して色々変えていきたいなと思ってこの一年ぐらいは活動していこうかなって。

他のメンバーさんはどんな風に思ってますか?

ぺいにゃむまさにその通りだと思います。普通の人なんだよって。世に出てるオネェの方はイメージがちょっと強すぎたりするんですけど、それを変えようとかじゃなくて自分たちの等身大で進んでいって、ゲイもただの人間なんだよっていうのを知っていってもらいたいです。

LGBTとか外国の人とか価値観が違うとされてる人たちに対する向き合い方って、いわゆる”ストレート”とか”普通”と言われる人たちの方こそ歩み寄ったていかなきゃいけない時代になると思ってるんです。そうなった時に二丁魁さんみたいな人たちの活動は理解の助けになると思うので、今回のインタビューもそういうきっかけになったら…と思ってオファーさせていただきました。

ミキティー嬉しい。でも、私たち自信がLGBT的な活動をしている人たちじゃないから自然とそういう風になっていってくれたらいいよね。そこに関して声を大にして訴えかけることは一生やらないだろうし。私たちの歌を通して自然に周りがゲイっていう人たちもいるって自然と理解が広まっていくのが私たちの狙いかな?って思ってます。

白鳥押し付けられない形でね。

ミキティーでも、私たちこれからはアイドル界に干されるかもしれない。

え?なんでですか?

ミキティー今のアイドルシーンがあんまり好きじゃなくて…。他の人たちは会社を背負ってやってることだから仕方ないと思うんですけど、会社の利益を出さなきゃいけないがために同じCDを何枚も買ってもらうことをしたくない、っていうのが一番にあって。振り付けでもそうなんですけど、私が振り付けをした曲のCDが”100枚買ったらバーベキューに行けます”って売り方をされているのが本当に嫌すぎて。私たちもCDは出してるんですけどそういう特典はつけてないんですよ。塩チェキっていうチェキを撮れるチケットは付いてるんですけど、それは単にCDを買ってくれた人に直接お礼を言いたいから付けてるだけで。ライブのチケットも一人で二枚買うのにも理由が必要で”誰に渡すの?”って直接聞いて売ってるんですよ。私は「Good As Yesterday」っていうアルバムの価値は2,000円以上でも以下でもないと思ってて。それって2,000円のお金を払ってその人がCDを手にして聴いた時に初めてその人の中で価値が生まれるものだと思ってるので、それを2,000円以上の値段で売ることは今後も一切したくないんです。私が夢見たアイドルっていうのは特典とかなしに150万枚売ったモーニング娘。なので、今活躍してるアイドルが私の目指してる”ゲイアイドル”ではないんですよ。それを過ちって言っていいのか分からないですけど同じことを繰り返さないために、ゲイアイドルの道は私が昔夢見たアイドルを作っていけるように一歩一歩を踏んでいこうと思ってます。

ぺいにゃむワンマンの時にミキティーも言ってたけど、10,000枚売りたいんじゃなくて10,000人の人に聴いて欲しい。

ミキティーそう。だって一人に何十枚もCDを売って、開いてないCDがあること自体に私は全然想像がつかなくて。よく価値があるものには”お一人様一点限り”って書いてるじゃないですか。私はどっちかっていうとそっちなんですよ。作曲した人とか色んな人の気持ちが詰まってるからこそお一人様一枚しか買わないで欲しいところがあるんです。これまでずっとフリーでやってきて、曲を作ってくれる人もレコーディングする人も全員顔が分かる人としかやってないし、みんなの顔が浮かぶからそういう気持ちになれたし、これからもそのやり方を変えるつもりはないです。そのせいでそんなに大きくなれないかもしれないんですけど、複数枚商法とかやって大きくなるぐらいならずっとこの規模でいいと思っちゃう。

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