「めちゃくちゃありますよね。」(齊藤)-演者側とPAのコミュニケーションは?-
実際に音を鳴らすところで気をつけているところはありますか。
高橋家でもCDで音楽は聴けるじゃないですか。しかも当たり前ですけどCDの音源はクオリティが高いですし。それなのにわざわざライブを見に来て、わちゃわちゃになって満足にステージも見えるか分からない、アイドルさんもたまたま疲れて歌えないかもしれない…。そんな中でもライブを見に来てくれるのは、本気の生のパフォーマンスを見て、かつ音を体感したいと思ってるからだと思うんです。なのでまずデカい音を出したいと思ってます。ただ日本人的な発想なのかお客さんはボーカルがちゃんと聴こえなきゃいけないっていうのがあるので、それを両立させることを特にアイドルフェス現場で意識してますね。
最初に”CDをもらう人”なんて失礼な言い方をしてしまったんですが、実際の現場で運営さんや演者さんとのやりとりってあったりするんですか。
齊藤めちゃくちゃありますよね。
その辺りがPAさんのお仕事として一番見えてないところだと思うんですが。
齊藤むしろPAさんとやりとりするために僕たち運営はリハに行くんじゃないですかね。僕たちは絶対にリハに行くし、夜の8時出演でも朝の7時のリハに行くのはまずPAさんとコンタクトを取ってどういう人なんだろう?っていうのを5〜10分の時間でもなんとなく知って、音楽的にやりたいアプローチを理解してもらう。その時間はすごく重要です。
jasさんはいかがですか。
jasウチの場合は最初に”クラブですよ”って説明をしないといけないんです。バンド的な音がちゃんと鳴ってて、声がちゃんと聴こえて…っていうのとはちょっと違うんで。箱によっては声がちょっと埋もれてもトラックを上げた方がいい場合もあるのでそこの説明が必須になってきます。
齊藤そのやりとりでPAさんの腕が明らかに分かるというか。例えば高橋さんと一回ご一緒した時は”まずがっつり出したいです”という最初の重要な部分を理解してもらえたので。まずドンって出してもらってから音を調整してもらう…PAさんによっては低いところからやる人もいるので。
ギュウゾウその逆で全く気にしない運営さんもいらっしゃいませんか?
そうなんですよ。そういうコミュニケーションが取りづらい現場もあるんじゃないかな?と思うんですが。困ったこととかトラブルとかはありませんか?
高橋まず、仕事のメインがトラブルシューティングだったりもします。全ての職業においてそうだとは思うんですけど、若い内は色んなトラブルにぶちあたるじゃないですか。それが歳を重ねるごとにその解決策が一つ一つノウハウとして蓄積されて、最終的にいいものになっていくのかなって。PAもそうで、ワイヤレスマイクの音が出なくなるとか、CDが急に停まるとか…なにせ一杯トラブルがあるんですけど…。
運営さんから「とりあえずこれ(CD)流しといてくれればいいです」みたいに言われることもあるんじゃないかと思うんですが、演者さん側とのやりとりで事前にこれはできてるとありがたい、ということはないですか。
高橋最近のアイドルの運営さんは音響の話ができる人とできない人で二極化してるので、山田さんがおっしゃる通り”CDを流してフワッと声を活かしてもらえればOKです”とだけ紙に書かれて渡される場合もありますが、お客さんが盛り上がっていればそれはそれでOKだと思ってます。逆に色々注文された時はそれは叶えなきゃいけないことなのでコミュニケーションをちゃんと取りたいな、とは思います。
ギュウゾウ事前に”生歌なので音響頼みますよ”って連絡来てたのに、当日そのグループから”リハいらない”って言われたりもしますし(苦笑)
高橋本番中は僕も殺気立っているので、ただでさえCDが山積みになってるのにパカっと開けたらCDが傷だらけだったりすると…。小さいライブハウスだったらいいんですけど、スタジオコーストであの音量でCDをかけて”バリバリッ!バツン…”って音が止まるリスクは避けたいので本来であればCDは事前にチェックしたいですね。リハーサル中にもらった分は頭だけでもディスクエラーがないか再生して本番に向かうんですけど、アイドルさんたちも色々なところでライブをしてるし、途中から来ることもあるのでしょうがないんですけど…。
ギュウゾウ去年に続いて今回も高橋さんがPAの責任者を受けてくれたのはイベントとしてすごく力になっています。去年のギュウ農でヤナミューさんの時の音を聴いて、”え?こんなにデカい音出していいの!?”っていう衝撃がありまして。僕の持論に”テクニックよりまずパワー”というのがあって、あれだけデカい音を鳴らせるっていうのは、よっぽど曲の特性を知っているPAさんなんだなと、信用できるなと、高橋さん推せるぞと。