おやすみホログラム、約7年ぶりの新作『PAPER MOON CLUB』で示す共同制作の現在地
おやすみホログラムが2026年8月22日、6thアルバム『PAPER MOON CLUB』のデジタル配信を開始した。再録ベストを除くオリジナルフルアルバム、そしてフィジカル作品としては約7年ぶり。8月21日には新宿MARZでリリースパーティーを開催し、CDを先行販売した。一般発売は9月16日を予定している。
この「約7年ぶり」は、活動休止からの復帰を意味するものではない。おやすみホログラムは編成やライブ形態を変えながら活動を続けてきた。今回のアルバムが映すのは、カナミルとオガワコウイチによる現在の2人組が、制作面でも関係を更新してきた先の姿だ。
初のコンセプトアルバム、最多の13曲
『PAPER MOON CLUB』は、おやすみホログラムにとって初めて数字以外をタイトルに据えたコンセプトアルバムだ。配信版には全13曲を収録し、アルバムとしては過去最多の曲数となる。
表題曲「PAPER MOON CLUB」に加え、「SAYONARA summer」「Reboot」「Epilogue」が作品全体の物語的な輪郭を担う。「sugar」はメンバーの動物愛を背景に持つ曲、「orange」は完全新曲のエレクトロチューンとして紹介されている。既発曲にはPMC versionも用意され、これまでの楽曲と新曲が一つの作品世界へ再配置された構成だ。配信作品の詳細
収録曲は次の13曲。
- PAPER MOON CLUB
- lovesick
- TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT(PMC version)
- 淡いダンス(PMC version)
- SAYONARA summer
- sugar
- 真昼のダンス(PMC version)
- count zero
- 不完全なまま(PMC version)
- orange
- Reboot
- 多分、ワールドエンド(PMC version)
- Epilogue
CDは品番「OYSM-19」、税込3,850円で9月16日に一般発売される予定だ。発売情報
「歌う人」から、作品を一緒につくる人へ
本作を象徴する一曲が、先行配信された「lovesick」だ。おやすみホログラムとして初めてカナミルが中心となって制作し、主に歌詞をカナミル、作曲をオガワが担当した。
調査対象期間外の参考情報として、2026年5月のインタビューも参照した。2人は現在の制作体制について、アートディレクションやレコーディングも基本的に共同で行っていると説明している。結成当初はオガワがプロデューサー、カナミルがパフォーマーという関係だったが、近年はカナミルも作曲へ参加するようになった。KAI-YOUインタビュー
その流れを踏まえると、『PAPER MOON CLUB』は空白期間を埋めるための新作というより、2人の関係が「つくる側同士」へ変化した現在地を形にしたアルバムと捉えられる。カナミルの言葉や発想が制作の中心へ入り、オガワの作曲・プロデュースと並ぶことで、おやすみホログラムの世界を更新している。
関連する動き――2人が新グループをプロデュース
アルバム配信前日の8月21日には、おやすみホログラムがプロデュースする新グループのオーディションも発表された。
新グループは、オガワが主宰するgoodnight! recordsからデビュー予定。プロデュースはオガワとカナミルが担当し、ライブの内容に応じてカナミル自身もステージへ参加するという。これは、おやすみホログラムの新メンバー募集ではなく、2人が手がける別グループの立ち上げだ。オーディション発表
応募フォームは下記URL↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf7Lgpgny_Z27DE0PLv9gArYEegeVkOQUyVpxM2ZgMMaWALug/viewform
反響はまだ「初動」の範囲
2026年7月26日から8月24日までの公開情報を調べたところ、追跡可能な外部言及は7件だった。8月23日のライブ映像やセットリスト、短い肯定的なコメントは確認できたものの、アルバムの詳細なレビューはまだ少ない。
検索候補には、YouTubeの公式自動生成音源や「PAPER MOON CLUB」「lovesick」の一般用法による無関係な動画も多数含まれていた。それらを除外すると、現時点で「反響が広く拡大している」と判断できる材料はない。配信開始から日が浅いこともあり、作品の評価はCD一般発売や今後のライブを通じて形づくられていく段階にある。
『PAPER MOON CLUB』と新グループの始動は、どちらもカナミルとオガワが表現者だけでなく制作主体として動く現在を示している。約7年という時間を経て前面に出てきたのは、過去への回帰ではなく、2人で作品と場をつくるおやすみホログラムの新しい輪郭だ。
