2014年夏、大注目の女性シンガーソングライターが8月6日にシングル「彼に守ってほしい10のこと」でメジャーデビューする。その人の名前は植田真梨恵。福岡県出身。歌手を志して15才で大阪へ。ギターを掻き鳴らす初期衝動あふれるライブが印象的だった彼女がインディーズ活動6年の月日の後に感じた限界とメジャーデビューを機に見出した新境地を語る。インタビューの最後には植田真梨恵によるセルフライナーノーツを掲載。さらに渋谷チェルシーホテルでのインディーズラストのライブ写真もアップした。(photo by 山田秀樹)
6年間のインディーズ活動 “曲が書けなくなった…” その先にあったメジャーデビューと「彼に守ってほしい10のこと」
直接お話聞くまで4年かかりました。2年前に別のサイトでインタビューはさせていただいたんですがその時はメールでのやりとりだったので。
植田ありがとうございます。お待たせしました(笑)
植田さんを初めて見たのは2010年6月で…
植田「葬るリキッドルーム」の時ですかね?
たぶんそうだと思います。横浜のマリンタワーでのライブに出られてて…
植田どんなでした?
すごく垢抜けてない感じでしたね(笑)
植田そうかぁ(笑)
ギターだけ背負ってやってきました、イライラを全部ぶちまけてやるぞ、みたいな姿がすごく印象的でした。
植田そう見えてたんですね。
まずはメジャーデビューおめでとうございます。
植田ありがとうございます。
プレス用の資料を拝見させてもらったんですが、そこに書かれている”セルフライナーノーツ”が非常に素晴らしくて。
植田ホントですか!?
これを読めば曲に関しては聞くことないんじゃないか?ぐらいの内容でした。
植田よかったです(笑)
なので、このインタビューをアップするときに一緒にこの全文を掲載させてもらおうかな?と思ってるんですが。(→「彼に守ってほしい10のこと」植田真梨恵セルフライナーノーツ)
植田本当に?
ただ、せっかく貴重なお時間いただいたのでお話も聞かせてください。
植田はい。お願いします。
これまでの作品も聴かせてもらってましたが、今回のシングルは結構意外だったんですよ。特に表題曲の「彼に守ってほしい10のこと」は今までの激しい感じや僕が初めて見た時の…
植田イライラ感(笑)
はい。前作まではその流れで来てたように思ったので、今回もそういう曲なのかな?と思ったんですが、表題曲の「彼に守ってほしい10のこと」は歌ってる対象に歩み寄ってるというか、昔の曲に比べるとすごく大人になった印象があったんですが。
植田歌いたいことや歌う内容に迷い始めていて。インディーズでやってきた、ただ自分の感情を垂れ流すような曲をこれからずっとやっていても意味がない、こう言う音楽をずっとやっていくなら…、ぐらいに思い始めてたというか。たぶんそれって単純な”飽き”と音楽に対してドキドキする気持ちの薄れとかなんですけど、そういう、音楽について考えていた時期とメジャーデビューの話を頂いた時期が重なって、「メジャーデビューするんだとしたらどんな曲を歌って届けていくのか?勝負していくのか?」ということをすごく考えましたね。インディーズの曲を作ってた頃より考え方も大きく変わりました。自分の気持ちをただ吐き出すような曲ではなく、それプラスアルファで前向きなところに進めるような曲を届けていかないとわざわざCDを買って聴いてもらう意味がないって思うようになったので、良い作用が生まれるようなものを作りたい…って言うのがありましたね。
その考え方ってごく最近になって変わったことですか?それとも少しずつ変わっていったことですか?
植田たぶん性格がちょっとずつ変わっていって、イライラすることやモヤモヤするようなことを歌う必要がなくなったり、そもそもイライラすることが減ってきた中で私も曲が書けなくなっていって…。それで新しく歌いたいことをずっと探していたんですけど、私は女の子が強い姿勢で戦っているところにすごくパワーを感じるので、私も戦う姿勢を崩さずにメジャーというシーンに飛び込んでいって強いパワーを持った歌を歌いたいと思ったんですよね。
ちょうど植田さんのインタビューが載ってる雑誌「MUSICA」が発売されてたので、読ませてもらったんですが”半年ぐらい曲を書かなかった”と書かれてたその時期のことですか?
植田そうです。その時期がイライラやモヤモヤがなくなっちゃって、音楽にしたいことがなくなっちゃった頃でした。
そこからもう一度自分を掘りにいって今に辿り着いたと。
植田はい。女の子が夢や希望を抱けるような歌を歌いたい、と思うようになって。私自身にだって”疑わしいこと”はたくさんあるんですけど、そういうのを全部覆していきたいなと思って。
“疑わしいこと”というのは具体的に?
植田“夢を諦めない”とか。
“夢を諦めない”と言う事が疑わしい?
植田疑わしいです。絶対諦めませんけど「叶わないんじゃないか?」と思う自分も時おり顔を出すじゃないですか、人間なので。けど、そんな不安はみんな抱いてる訳で、私はそれに打ち克っていく自分でありたい。一生。なのでそれをちゃんと大きい声で歌えるものを作って見せていきたいと思ったんですよね。
元々、植田さんの曲は聴いた人に強いシンパシーを与える曲が多いなと思ってるんですが…女性ファンも多いですよね?
植田どんどん増えてきています。
今回の「彼に守ってほしい10のこと」はより幅広い人たちに対して共感を呼ぶ歌なんじゃないかと思うんですが、そのことは意識しましたか。
植田意識しました。特に女の子たちに聴いて欲しいし、聴くだけじゃなくて歌って欲しい。それで元気が出たらすごくいいなと思って。あと私が目指している”歌っている人像”っていうのは、テレビの中で歌ってる人で、家族で、居間で、テレビを囲んで…ってたぶん今どきあまりないのかもしれないですけど。例えばそういう場面で流れたとしても誰も気まずくならない、全員が各々の立場で楽しめる様な曲にしたい。だとしたら絶対歌詞に「死にたい」とか書きたくないし…そういうことは考えましたね。
歌っている内容だけじゃなく、アレンジもすごくキャッチーだなと思ったんですよ。表現が難しいんですけど”メジャーっぽい”なって。
植田よかった。
それまでは”刺さる”ようなアレンジの曲が多かっ…
植田ふふふ(笑)
表現違います?
植田いやそうですね(笑)全くもって違ってないです。
特に表題曲に関してはすごく広い人に聴いてもらえそうなアレンジになってるな、って思いました。
植田ヘンに耳に引っかかることをやりたくなくて。なるべくナチュラルに曲が進んで違和感なく終わる。それで歌がちゃんと入ってきて心の中に曲が残るっていうふうにしたかったんですよ。フックだらけにして…ゴテゴテに武装して、ってそういう曲を書くよりは、より生身でシンプルに歌だけが本質的にちゃんと届くダイレクトなものを作ろうって意識でした。実際、シンプルにはなったと思ってるんです。決して派手ではないと思うので。だから、”メジャーっぽい”と言われるとちょっと…不思議?
何をもって”メジャーっぽい”というのもありますけどね。
植田そうですね。むしろ自分ではちょっと地味にしたぐらいの気持ちでもあるので。”メジャーっぽい”と言われて安心しました。
編曲のクレジットに”いっせーのーせ”って書いてあるんですが、最初こういうアレンジャーさんがいるのかな?って思いました。
植田あ、やっぱり思うんですね。
ライナーノーツを読んだら違うのが分かったんですが、これって言ってみたらセッションですよね。
植田そうです、そうです。私の中では「ここではこういうリズムがあって」とか、あるべき姿に出してもらった感じが大きいんですけど、みんなでスタジオに入ってひとつずつ肉付けしながら「これは違います」とか話しながら音を出して組み立てていった感じです。ギターはちょっと要素が多すぎるんで、その時はアコギとベースとドラムで。後からギターのフレーズを練ったものとピアノをレコーディングしました。
実は僕がSensationがものすごく好きで…
植田そうなんですか!?
クレジットにSensationの方の名前が入ってたのがすごく嬉しかったです。
植田麻井さんも車谷さんも前からお世話になっていて、こうやってスタジオで合わせて作るのは初めてだったんですけど、よりバンドっぽいというか。かなりしっくりくるアレンジになったと思います。
歌の内容に話が戻ってしまうんですが、初期衝動のインパクトが強い人ってそこから変わっていくのが難しいんじゃないかな?って思うんです。それまでと違うことをやると「私の知ってる◯◯じゃない」みたいに思われたり。
植田確かに確かに。
ただ今回の植田さんみたいにメジャーに行くタイミングでのシフトチェンジは、これから初めて聴く人にとっても入りやすいし、今まで聴いてくれたファンにも良い形になってるんじゃないかな?と思うんですが。
植田やっぱりメジャーでやるからには多くの人に届けなきゃいけないと思ってて。ネガティブなワードを入れない、シンプルにする、疲れなくて済むようなアレンジにする、は絶対やろうと思って作ってたんですけど、でもこれはまだ一部にしか過ぎないというか。メジャーに行くにあたって自分で決めたルールは色々あるんですけど、その中でも「こういうアプローチができる」っていう曲はまだあるのでそれをこれからも見ていって欲しいですね。
3曲目の「アリス」のライナーノーツに「”いいこと”と”悪いこと”を繰り返す、という選択肢をとることができるか?」と書かれているんですが、この中に活動を始めてから6年間続けてこれた”何か”が含まれてるように感じたんですが。
植田そうですねぇ…確かに。私も何回も辞めよう…というよりは”辞めなきゃいけないかもしれない”って感覚なんですけど、作品を出すたびに思ったりもしてて。…でもアップダウンだと思うんですよ、ホントに。いい時があれば悪い時も絶対あるし、いい時がずっと続くから続けられるという訳でもなくて。(ライナーノーツに)書いてる通りなんですけど、それでもなんとか続けてこられて…でも変化はしていくものだと思うんですよね。「アリス」はすごく過去に書いた曲ですけど、普遍的なことを歌っていると言うか、この中でさえ過去を振り返ってるというか。だとしたら時系列もそんなに関係ない普遍的なキーワードになってる曲だなって思います。あとノスタルジックと女の子っぽいっていうのが今回私の中で”こっそりテーマ”だったので、それにもすごく合うし、入れたいなと思いましたね。
今回のシングルは収録曲が3曲ありますが、がっつりアレンジを入れた曲は「彼に守ってほしい10のこと」だけで、残りの2曲は「ダラダラ」が弾き語りだったり、「アリス」もすごく抑えたアレンジだったり。こういう構成になったのは理由があるんでしょうか?
植田そんなにこだわった訳ではないんですけど「ダラダラ」はライブでもやってるし、今の私が歌うとすごくリアルな意味を持てるというか、ちゃんと私が私として歌える曲でもあるので入れました。今回の3曲はより生々しいものとして作っておきたかったので、良いバランスになったと思ってますね。
最近の植田さんのライブは弾き語りが多いので、植田さん自身のイメージもその印象が強いんですね。
植田ですよね。
なので表題曲以外の2曲があることで「彼に守ってほしい10のこと」は今の植田さんっぽいシングルになった印象があります。
植田良かったです。
このシングルで初めて植田さんを知ってライブに来る人も納得しやすいんじゃないかな、と。
植田「彼に守ってほしい10のこと」もその他の曲に関しても、さっきも言ったんですけど、無理に”武装する”のが嫌で。無理にガチっと高いところに合わせなくても、曲そのものが持ってるパワーだけで勝負できると思ってるんですよ。「ダラダラ」に関しては、弾き語りでライブすることが多いから歌とアコギだけで成立するホントにいい歌を書こうっていう気持ちが大きかったし、どの曲に関してもアレンジが外れてしまった時にもちゃんと力を持ってる歌っていうところで選んでいるので。そんなにがっちり作りこむか込まないかはそんなに関係ないというか、”それでもいい歌”っていうものを入れていきたいというのがありますね。
植田真梨恵のライブ ピックが割れても弦が4本切れても「事故には乗っかっていきたい」
では、ライブのことについて少し話を聞きたいんですが。
植田はい。
今回のシングル、特に表題曲はこれまでとすごく今までと変わったな、大人になったなという印象があるんですけど、ライブの植田さんの印象は最初に見た頃とあまり変わらないんですよ。
植田なるほど(笑)
特に目ですかね。刺すような眼光が…
植田しますか?まだ。
はい。
植田だいぶ薄れたかな?と思ってたんですけど(笑)
全然そんなことないです(笑)自分では薄れた感じがあるんですか?
植田私はしますね。人当たり自体も柔らかくいたいと思っているので…以前とは違って(笑)なのでちょっと薄れたかな?と思ったんですけど。
昔の曲もやったりすると作った時の気持ちが戻ってきたりするのかな?と。
植田それはあると思います。やっぱり歌を歌ってるところでパワーを燃やしてないと意味がないのでそうなっちゃうのかもしれないですけどね。
そういう情熱的なライブをする人だなぁと思ってるんですが、”意外と”といったら大変失礼なんですけどテクニックもすごく使う人だなとも思ってるですね。
植田(ものすごいしかめっ面)…ヘタクソです。
低音でも声が消えないとか、シャウトとか、ロングトーンでビブラートを効かせるところとか…そういうのをきっちりやる人だな、と。
植田いやぁ…。歌を歌って生きていきたいとはもちろん思っているので、上手くないといけないとも思ってるんですけど、ヘタクソだと思いますね、私は。荒いし。なので頑張っていきたいところです。
(マネージャーへ)どうですか?僕はずっと技術のある人だな、と思ってたんですが。
マネージャー(困)
植田“本人はずっと首を横に振っていた”って書いておいてください(笑)
あと僕が植田さんを見て一番魅力的だなと思っていたのは声なんですが、自分の声は好きですか?
植田嫌いです(即答)。「アリス」とかを歌ってる声が一番聴きやすいです。もうギャーギャー言ってるのが恥ずかしくて。でも、ついついギャーギャー言ってしまうので。自分ではもっと力の抜けた声の方がまだ聴きやすいし、いいなと思います。
他の歌手の人と比べて特徴的だとか変わってるって…
植田思いません(再び即答)。めっちゃありきたりな声だし、どうしてオリジナリティつけようかってインディーズの頃からずっと思っています。
それは意外でした。その部分は結構自覚的なのかなと思ってたんですが。
植田そうですか?ないです。むしろ全然まだまだ足りないから。植田真梨恵の声ってこういう声っていうものがもっとちゃんとできたらいいな、自然にできたらいいなと思いますね。
聴いていてすごく幼い声、可愛らしい声だなって。そういう声質の人が激しい曲を歌うギャップで耳に届くタイプの歌手だなと思って見てました。結構珍しいタイプかな?と。
植田なるほど。自分では思わないですね。でも「彼に守ってほしい10のこと」とかは、そう仰っていただくかわいい声で幼い声だとしたら、割と曲と合ってますね。
そう思います。なので声質も活かされてる曲だなって聴いてて思いました。
植田ありがとうございます。
で、そのライブをものすごい数…過去には年間50本やってたり。これって週一本ぐらいのペースですよね。
植田その頃はそうですね。
植田さんのライブを見てるとライブの地力や対応力をものすごく感じるんですが。
植田普通に歌うだけだったら機械でもできるかもしれないし、わざわざライブを見に来て同じ空間にいてもあんまり面白くないかなと思ってて。その時々で違う人が集まって…演者側もそうだしお客さんもそうじゃないですか。だからその中でその時起こること、それが例えばアクシデントであっても、その事故によって変わる空気みたいなものには割と乗っかっていきたいというか、その時しかない感じを一緒に味わえた方が面白いなと思ってます。
ライブ中にピックが割れてお客さんからピックを借りたり。
植田ありましたね!最近よく割れるんですけど。
普通ピックを持ち歩いている人っていないですよ。すごい投げかけをするなって。しかも「マネージャーさんじゃない人でピック持ってる人いますか?」って。
植田他にも演者さんいたんで、きっと誰かしらは持ってるでしょ?グッズの中にあるかもしれないし…
確かにライブ会場にピックがないってことはないですけどね。
植田落としものの中にピックがあるかもしれないし、ドリンクカウンターのお兄さんが持ってきてくれたかもしれないし。ま、あの日はお客さんでしたけどね。
でも、お客さんが持ってきてくれるのが一番面白い。
植田面白かったですね。ライブの後そのピックに「サインください」って言われて、サインして「ありがとうございました」って言いました。
あと僕が一つ衝撃的だったのが、渋谷の駅前でやったライブで…
植田弦4本切れる…。すぐ気付きました?
気付きましたよ。ブラブラしてたんで。そしたら…ねぇ。
植田4曲目の「心と体」で一本切れて。「コンセントカー」を歌って、最後の「よるのさんぽ」で立て続けに3本切れるっていう。びっくりしましたね。
最後は2弦と6弦しか残ってなかったです。
植田ホント音鳴らなくて。でも初めてでしたよ。自分でも。
僕も見たことないです。
植田ググったら長渕剛さんのライブで弦が4本切れたことがあったらしいんですけど「長渕さんかぁ…」と思いましたね(笑)
どうしょうもなくなって最後は自分でギターの音を言ってたじゃないですか。
植田「じゃかじゃん!」って(笑)
あれは今年見たライブの中では一番センセーショナルでしたね(笑)実はあの時に植田さんのライブを見てもらおうと思って知り合いを呼んでたんですよ。でも当日に仕事で来れなくなっちゃって。
植田呼んだ方が良かったのか、呼ばない方が良かったのかって?(笑)
そうそう。すごく微妙な気分になりました(笑)でも僕はすごくいいもの見れたなと思いましたよ。
植田ストリートで良かったです。お金をいただいているライブであんなことがあったら最悪なので。
ちょっと別の質問なんですが、植田さんって音源とライブをやってる時の印象がものすごく強いんですけど、それ以外のプライベートの部分があまりイメージできないんですよ。
植田生活感ないですか?
MCでも「夜行バスで来ました」「ファミレスでマネージャーさんとご飯食べてました」とか。
植田そんなこと言ってました?その通りです。今朝もそうしてました。
で、「ライブが終わったらまた夜行バスで帰るんです」みたいな話を聞いてるとストイックなイメージしかないんですけど実際はどうなんですか?
植田いや、普通ですよ。だいぶ普通になりました。それこそインディーズの頃の方が妙にストイックで、友達と遊んだりもホントなかったし。ずっと曲の事考えて、ずっと急かされているような感じだったので。自分の心が動く方向に行くように映画を見たりしてあえて落ち込んだりしてましたけど(笑)最近はむしろ健康的です。ご飯も作るし、朝全然起きられなかったりするし、猫とふにゃふにゃしたりもしますし。
そういうストイックな印象があったので以前ライブのMCで聞いたセーラームーンの話はすごく印象的でした。
植田はい(笑)
“セーラーマーキューリーの指示ボールペーン”が手に入らない、朝から並んだのに…と。
植田でも、ああいう時間ってすごく大事だなと思って。一人で何かの目的のために並んだりするのっていいなって思いましたね。
その後、お店でそのボールペンが売ってたので見たんですけど。
植田売ってたんですか!? どこですか?
下北沢のヴィレッジヴァンガードで。
植田あ、ヴィレッジヴァンガードはちょっと入荷が遅かったんですよ。だからあったらしいですね。
で、実際に手に取ってみたんですよ。正直、「これに朝一から並ぶのか…」と。
植田あれ良かったんですよ。やっぱり乙女心くすぐられるデザインだったんですよ。男性にはちょっと分かんないかもしれないですね(笑)あれに朝一から並ぶんですよ。
結局、ボールペンは手に入ったんですよね?…って何の話をしてるのか分からなくなってきましたが(笑)
植田(笑)でも、音楽とか誰かが作った創作物をどうしても手に入れたいっていう気持ちとかってそういうことだなと思って。他人から見たら「なんでやろ?」と思うことでも自分にとってはすごく大事な問題だったりするじゃないですか。そういう風に情熱を燃やせるものが私にもまだあったのがすごく嬉しかったんですよね。
植田さんの作品もそういうものの一つになり得るわけですよね。
植田そうならないといけないなと思って。だとしたらやっぱりこだわりを持っているべきだし。いいと思えるものをリリースしていきたいというのはずっと変わらないので。そういうドキドキする気持ちを思い出せたので、タイミング的にもすごくいい経験だったなぁと思いました。
ちょうどそれがあった時のライブの記事を書かせてもらったんですけど、あまりにもその指示ボールペンのインパクトが強くて、内容がそればっかりになってしまって。
植田読ませていただきました。
最初に出した原稿はマネージャーさんにも「ちょっとこれは…」って修正の指示をいただきました。
植田(笑)
自分で読み返しても何の記事かよく分からないなって(笑)それぐらいインパクトがあったライブでした。
植田10分ぐらい喋ってましたからね(笑)
植田真梨恵から見た”女性シンガーソングライター”とそのシーンについて
では、最後のテーマになるんですが。植田さんは”女性シンガーソングライター”って言われ方をすると思うんですけど。そういう方は他にもいらっしゃいますよね。
植田そうですね。
そういうのをシーンとして捉えたりすることはありますか?
植田めっちゃ捉えますよ。
他の同世代ぐらいで活動されてる方の曲とかも聴いたりとかしますか?
植田すごくいい声で歌うなぁと思う方たちはたくさんいますよね。それに可愛らしい歌詞の歌だなと思ったりもします。今はたまたまたくさん出てますけど、ブームというよりは現象に近いなと思ってます。
僕らみたいな伝える側の人間って、ジャンルやカテゴリーを作って紹介したがるんですけど、実際にやられてる方っていうのはそれぞれ一人しかいない訳で、その方々が同じように活動している人たちのことをどういう風に捉えているのかを聞いてみたいのですが。
植田そういう女の子たちが多いなと思うんですけど、そこで私も一緒に紹介してもらえるんだったらむしろ嬉しいなと思いますし、逆に言ったら私もホントにみんなそれぞれ違うって思うので。でも私は必要性が感じられるものが好きなので…例えばギターを持って歌うことの理由とか、ここにギターがなければいけないのか?とか。私はギターが必要だったら弾くし、いらなかったら弾かんでいいと思っているので。
実際、植田さんはギターを弾かないで歌うもありますしね。
植田さすがに歌は常に歌いますけどね(笑)だからって自分で曲を作らなきゃいけないとも思わないです。私のキャラに合った、私に対して書いてくださる素晴らしい作曲家、作詞家の方に出会えて、それを提供してくださる機会があったら私はぜひやりたいし。それでいい作品が作れるならばそれが一番だと思っています。今は自分が作る曲が一番説得力があって届くかな?と思っているからそうしている感じですね。
前に「米津玄師さんが好き」と仰ってたのを見て、シンガーソングライティングに対してこだわりがあるのかな?と思ってたんですが、そういうことでもないんですね。
植田私が歌を歌ってさえいれば植田真梨恵というものは成り立つと思っているので、私が全然曲が書けなくなってまでシンガーソングライターでいる意味はないと思っています。
なるほど、分かりました。
植田でも今は作りたいものがたくさんあるんでいっぱい作ると思います。
では、これから先のことなんですが、一番近いところで9月7日の梅田シャングリラと9月27日の原宿アストロホールでのワンマンライブがありますが…今めっちゃいい顔になりましたね(笑)
植田そうですね(笑)
そこに向けての意気込みを聞かせてもらえますか。
植田メジャーで初めてのワンマンライブですね。ライブはこれからも、植田真梨恵っていう私の姿でステージに上ってみなさんと同じ空間にいて歌っているっていうことは全く変わらないと思ってるんですが、メジャーデビューしたっていうのはみなさんの中にもきっと何かしら思うことがあると思うんですよね。だから単純に私が放つ歌がもっとパワーアップすると言う意味で、進化した強い歌が歌えたらいいなと思ってるんですよ。心意気とかはこれまでと変わらないんですけど、パワーアップしておく必要があるなと思ってます。
この1ヶ月ちょっとぐらいの間でも?
植田はい。
植田さんは恵比寿リキッドルームから赤坂ブリッツぐらいまではこれから1年ぐらいで行って欲しいな、行ける人だろうなと思ってますのでこれからも期待してます。
植田どんどんでかいステージに行きたいと本当に思ってますので、ぜひついてきてください。
植田真梨恵「彼に守ってほしい10のこと」セルフライナーノーツ
はじめてつくるほんとうの意味でのシングルCD、植田真梨恵はこの1枚をひっさげてメジャーデビューするという、私の新たな第一歩だと思っています。
今、私がみなさんに向けて歌いたいのは一体何なのかを考えました。これまで15歳の頃から曲を書いて、17歳のころから皆さんに音源を届け始めて、それをずっと続けてくることができたんですが、これまでは自分が単純に歌いたいこと、胸に抱えているものをただただ吐き出していたところがありました。でもそうじゃなく、そういう部分以上にもっと、皆さんの耳まで届いた時に、悲しいだけじゃなくて、さびしいだけじゃなくて、私なりの結論を見つけて歌ったものを提示していきたいと思いました。世の中には、男のひとか、女のひとしかいなくて、わたしは女の子として、女の子の心で夢みたいに広がる音楽を作りたいと思っています。
今回の「彼に守ってほしい10のこと」というシングルは、そういう女の子ならではの気持ちが、いつまでも時を越えて残って、伝わっていったらいいなと言う思いを込めて作りました。
「彼に守ってほしい10のこと」
女の子が男の子とお付き合いをした時に、たぶんできることならばみんな、いつまでもしあわせにずっと一緒にいられることを願っていると思うんですが、例えばどんな約束さえ守ってくれたら、すべてを許してずっとそばにいることができるだろう?と考えてつくった、さだまさしさんの逆関白宣言的な一曲です。女の子の望みは、数え始めたらたぶん本当は10個ではおさまらないかもとも思うんですが、逆に言ったら、これさえ守ってくれたら私はずっとそばに居られるんだよと歌っているんです。
歌詞とメロディは、最初のフレーズが出てきてからすっと書き上がったのですが、今回、新たな試みとして、編曲をアレンジャーさんにお願いするのではなく、バンドメンバーと一緒にスタジオに入って、いっせーのーせーで曲を合わせてみて、そこから各楽器のフレーズやリズムパターンなど細かいところを一緒に考えていくという作り方で作りました。曲一曲が少しずつ、確かな形で肉付けされていくというか、私の中ですべての音が、鳴っていて無駄のないものばかりで、とてもすべてがしっくりきています。ギター録りもかなりいろんなバリエーションで試して音を選んでいきながら、いちばんいい形で収録できて、私自身ようやくギターのことが好きになって、もっとギターのことを勉強したいなと思うようになったりもしました。
夏に皆さんに聴いてもらう曲としては、アッパーでさわやかできらきらした、気持ちのいい一曲になったんじゃないかなと思います。たくさんの女の子にすきなひとのことを思って歌ってもらえたらうれしいです。
「ダラダラ」
五月末の暑い暑い日の夕刻頃に、ぽろぽろと部屋でアコギを鳴らしながら、だらだらとある曲を書いていたとき、急にそこにふっと紛れ込んできて、そのままそのときに書いてた曲よりも先に最後まで出来上がった一曲です。暑い日に食べてたアイスがどんどん溶けていくかんじと、なんとなくそんな暑い日の午後がずっと永遠に続いたらいいと思うような、恋の情景を歌っています。
日本人でよかったなと思うのは、おいしい鍋を食べたときとおいしいさんまを食べたときと、日本語の歌詞でうんうんと悩めるときです。ダラダラの歌詞は日本語ならではの、日本語だけが持つ独特な響きとか、こまかい言葉のもつニュアンスをいっぱいいっぱいに含んで出来上がっていて、例えばそれが[和風]かと言われるとそれはそれで程遠いんですが、書いて出来上がった時、本当に日本人でよかったなと思いました。弾き語りのライブをどんどんやっていく中で、アコギ一本と歌だけでほんとに事足りる、もうほかになにも要らないような曲をたくさん書きたくなって、実際にライブでよくやっていたのもあって、今回は本来のそのものの形である弾き語りの音源を収録しました。
みなさんの部屋まで、スピーカーやイヤフォンを通ってダイレクトにつながったらいいなと思って、最後まで作り上げました。懐かしい夏の思い出を呼び起こす感覚にも近いと思います。青春みたいなものとも言えるし、これから先ずっとのことも言えるし、今のたった今とも言えると思います。
「アリス」
今回のCDの中では一番若いときにできた曲で、17、8歳当時の私が作詞作曲したものです。デモが出来たときから、担当スタッフさんがずっと好いてくれていたみたいで、これまでにもっとブラッシュアップさせようとして書き直したりもしたんですが、出来上がったものがほとんど別の曲みたいになっちゃって、アリス2って曲が生まれたりもしました。
今回収録しているアリスは、ブラッシュアップする前の、そもそも生まれたままの形での詞と曲のアリスであり、あえてもうなんにも変えずに今の私が歌って収録しました。
そもそも私自身ディズニー映画が大好きで、小さい頃から母親とレンタルビデオ屋で何度も借りては繰り返し観ていたんですが、高校生になって大阪でひとりで暮らすようになってからも、なんとなくディズニー映画の必要性を感じていてDVDを何本か買い揃えたんです。それからも繰り返し繰り返し、中でもアリスをよく観ていて、アリスは物語の途中、迷い込んでしまった不思議な森の中で、もう不思議な世界はうんざりになっちゃって、うちにかえりたくなっちゃって、好奇心だけでどんどん先へ進んでしまった自分のことをとても責めて、反省もするんですが、その直後またそれをすっかり忘れて、また先へと進んでしまうんです。そういうところにやたらとシンパシーを感じてしまって、というか、どこかアホであることの良さみたいなものを時折すごく思うんですけど、そういう気持ちの波であったり、「良い」と「悪い」の繰り返しを、繰り返しとして選んでいけるかどうかが、何かを続けることに掛かっているような気がするので、この曲をちゃんと収録しておきたいなと思いました。
これはベースの麻井さんに編曲をお願いしました。かわいらしい感じとか、淡々としたままで一曲終わるところが気に入っています。ロリータの象徴であるアリスが、ずっとかわいらしいままのイメージで古ぼけていくようなところに、これもまた女性ならではの憧れや願望が込められた一曲になっています。
メジャー1stシングル「彼に守ってほしい10のこと」
2014年8月6日リリース
¥1,200 (税別) / GZCA-4140
▼ 収録曲
1.彼に守ってほしい10のこと(詞と曲:植田真梨恵/編曲 いっせーのーせ)
2.ダラダラ – demo -(詞と曲とギター:植田真梨恵)
3.アリス(詞と曲:植田真梨恵/編曲:麻井寛史)
4.彼に守ってほしい10のこと -off vo.-
植田真梨恵LIVE TOUR 2014 UTAUTAU vol.1
【大阪】2014.9.7 梅田Shangri-La
【東京】2014.9.23 原宿ASTRO HALL
OPEN 17:00 / START 17:30
TICKET 前売 ¥3,500 / 当日 ¥4,000 (1D別)
(問) 03-3475-9999 (H.I.P.)
【一般発売日】8/16(土)
チケットぴあ[Pコード(共通) 235-055]
ローソンチケット[Lコード(大阪)59874 / (東京)72365]
e+
リンク
植田真梨恵 オフィシャルホームページ http://uedamarie.com
植田真梨恵 オフィシャルTwitter https://twitter.com/uedamarie








