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「”食わずぎらい”はギャルに聴いて欲しい。」「好きじゃないんですよ、EDM…。全然マッチョになりたくないんで(笑)」

では「食わずぎらい」についてなんですが…

AZUMAもうお聴きになったんですよね?

はい。30回ぐらい聴きました。

AZUMA(笑)

一番気になったのはタイトルと歌詞で、はたして何に対して「食わずぎらい」って言ってるんだろう?って。

AZUMA一言でいうとあれは、究極の片想いソングなんですよ。すごく相手のことが好きすぎて、私はあなたのことをすごく見てるし何でも知ってるけど、あなたは食わずぎらいだから、私のこの気持を食べてくれない、って言う歌なんです。「食わずぎらい」ってタイトルもちょっと変じゃないですか。そう言うのが好きなので。

歌詞の中で使われてる言葉も激しくて「小さく刻んで」とか結構強烈でした。

AZUMAワードが引っかかるって言うのは狙って書く場合も多いです。曲はアグレッシブでゴリゴリのテクノな感じにしたかったので、その上で女の子の気持ちを歌うって言う芯をぶらさないために歌詞と歌の表現とメロディーでバランスを取ります。トラックのノリを大事にしながらちょっと乱暴な言葉だったり、狂った感じだったりを入れることで、トラックにも寄り添えるし、聴く人も想像してくれるかな?と思うので。

歌詞の激しさが一番出ているのが最後のラップだと思うんですが、あそこを聴いた時に「この曲は普通じゃないぞ!」って感じました。

AZUMAラップは前からしたかったので、この曲のアグレッシブさをより出すために絶対入れた方がいいなと思って。私がラップやポエトリーリーディングみたいなものを考える時って、シェイクスピアの悲劇を一人で舞台の上で語る感じだったり、ちょっと頭がおかしくなっちゃって道で叫んじゃうみたいな感じだったり、女子高生が渋谷でわいわいやってる感じだったり。そう言うのを全部ミックスして吐き出したい願望があったんですよ。

資料としていただいた歌詞の中にはそのラップの部分だけなくて…

AZUMAそうですね。

なので今回のインタビュー用に全部書きだしました。

AZUMAうそぉ…?えぇ?それで30回も聴いたんですね。…すごい。えぇぇ…。

これってロックで言う「エモ」か、アイドルで言う「萌え」だと思うんです。

AZUMA「萌え〜」ってやつですか?おぉ!

過去のAZUMAさんの曲を聴かせてもらうとそう言う感情の要素は削ぎ落とされた印象があったんですが。

AZUMAあんまりボーカルが浮きすぎないで、トラックに馴染んでるってことですよね。

それが「食わずぎらい」のラップでは感情が思いっきり前に出てきたのがかなり驚きました。

AZUMA確かに…。もしかしたら顔出ししたって言うところと繋がるかもしれないですね。生々しさと言うか。語ることってすごく身体性があるものだと思うので。何かを出したかったんですかね(笑)

小林プロデューサー(以下、小林)プロデューサーとして一言いいですか?みんな最近のアイドルすごい好きじゃないですか。(僕は)よくあんな恐ろしいものを皆さん好きになれるな、と思うんですよ。少女って本当に怖い生き物だと思うんですよね。気が狂ってるし、ぶっ壊れてるし、論理破綻してるのに計算高いし…。だから「食わずぎらい」のラップって(AZUMA HITOMIが)元から持ってるものや内在しているものがすごく分かりやすい形で出てきたんだと思います。

AZUMA聴きどころはラップの部分と人には言うんですけど、私はそんなに思い切ったことはしてなくて、(普段の)歌詞を作るのと違わないんです。ただ、女の子っていう得体のしれなさや少女の恐ろしさは表現していくべきだと思っていて、この歌詞も女性だから書けたと思うし、女の子が聴いてどう思うかも気になりますね。

では「食わずぎらい」のサウンドについて聴かせて欲しいんですが、これってEDMですよね?

AZUMAあー。EDMってワードが難しいんですよね。自分の曲を説明する時にどう使えばいいか。

一番最初に思ったのがロリーンの「Euphoria」って曲でした。バキバキのエレクトリックサウンドにきれいなメロディを乗せてしっかり歌い上げる、って言う。AZUMAさんの「情けない顔で」もそれに近かったと思うんですが、EDMを意識したところはあったんですか?

AZUMAゴリゴリのトラックに歌はちゃんときれいに歌うって言う意味では「EDM」なんだと思うんですけど…。EDMを聴いてあんまりしっくりはこないんですよ。「自分、これなの?」みたいな。

小林元々彼女の場合は「歌うたい」なので美しく歌う中でテクノをやるとこうなっちゃう。結果論としてたまたま似たような形になったんじゃないですかね? ただ(AZUMA HITOMIを)EDMと呼ぶには全然マッチョじゃないですよ。彼女にとっては踊らせることが主目的ではないから。もちろん踊らせる匂いが強い曲もありますけど、プリミティブテクノから分化していった結果の流れとして近しく見えるって言うことなんじゃなないかな。

AZUMA全然好きじゃないんですよ、EDM…。

(笑)

AZUMAあれだったら歌わなくもていい、って思っちゃうんですよね。

トラックとしてかっこいいから、ってことですか。

AZUMAうん。トラックとしてかっこよくて、それで踊らせる目的なら…と言うか、あんまりかっこいいと思ったことがないんですけど、基本的にEDMに対して思うことは、わざわざ歌が上手い人を連れてきてマッチョなトラックに乗せるって言うのがよく分かんない。

(笑)これ記事で使っても大丈夫ですか?

AZUMAもちろんエレクトロな音楽だったり四つ打ちな音楽が一般に広がってるのはすごく参考になると言うか、自分の音楽にも通じると思うんですけど、特にEDMの文化を意識したりはしなくて。全然聴いたりもしないです…これ、大丈夫かな?(笑)

小林彼女の曲の中でベーシックトラックがむちゃくちゃ過激な曲がわりとEDMっぽく聴こえるじゃないですか。でも、なぜ彼女の曲のベーシックトラックがそんなに過激かって言うと、さっきのポエトリーリーディングと同じなんですよ。彼女に内在してる暴力性だったり、過激さだったり、初期衝動だったりするものがアレンジに出てるだけで…

あ、なるほど。

小林それが暴力的なベーシックトラックになって、でもそこに何故かキラキラした乙女チックなシーケンスが舞ってる。そこがAZUMA HITOMIなんだなって感じだと思うんですよね。

AZUMA全然マッチョになりたくないんで(笑)キラキラはしていたいけど。暴力的な部分とハッピーな部分のどっちもありたいって言うのが、歌詞にも音にも表れてるんだと思います。

EDMって快楽主義的な部分ってあると思うんですね。こういう音が気持ちいいでしょ?こう畳み掛けたら気持ちいいでしょ?って言うのを突き詰めて、実際に聴いたらやっぱりみんな気持ちよかったって言う。そう言う考え方に対してはどう思いますか?

AZUMAそれはYESだと思います。音楽をループさせてノるってことだったり、グルーヴのちょっとしたスネアのタイミングだったりで気持ちいいかどうかをジャッジする、みたいなことは共感と言うか正しい音楽の作り方で、正しい音楽の聴き方っていう印象を受けます。

AZUMAさん自身もそうやって音楽を作ってる?

AZUMAそうですね。とにかくループして気持ちいいものをシーケンスで作りたいから。そう言うあり方は全然いいと思うし、私も踊るの好きなので、そう言う音楽も好きです。

先日のライブで自分の後に出たバンドのライブを見てたAZUMAさんがフロアの誰よりも踊ってて(笑)それを見てダンスミュージックとAZUMAさんの作品をより関連付けて見るようになったんです。

AZUMA私、リスナーとしてはロック出身なんですよ。なのでバンドがやってると楽しくなっちゃって。バンドの音のアンサンブルがすごい好きなんです。それがノリノリの曲だったりグルーヴがかっこいいと「身体が自然に動く造り」になってるんですよ。

それは踊ってるAZUMAさんを見てすごく分かりました。

AZUMA自分の曲が生楽器を使ってなくても、自然に身体が動く音楽にしたい時に思うのは、クラブのノリじゃなくてロックの生の響きや生楽器に対する憧れから、アナログシンセの音でぶっといやつをベースに使ったりします。自分が聴いて踊りたくなるところの発端が生楽器なんですよね。

過去のインタビューでは「J-POPを作る」「歌謡曲」と言うキーワードが繰り返し出てきてたんですが、「食わずぎらい」に関していうとどう言う風に反映されていたと思いますか。

AZUMA私、放っておくとすごい歌謡曲になっちゃうんです。歌いまわしが「こぶし」に変換される時があって(笑)盛り上がれば盛り上がるほど、私の情念みたいなものが演歌の方に行くというか。やっぱり演歌ってすごいんですね。ダサさとかっこよさのせめぎ合いと言うか、圧倒されちゃう感じが興味深くて。人が持ってる声だけで空気を震わせて届けるスタイルに興味があるので、歌う時にそう言う情念を伝える意味で歌謡曲を意識することはあります。

AZUMAさん自身は自分の作る曲をポップだと思いますか。それともハードコアなものだと思いますか。

AZUMAそれは完全にJ-POPですね。本当はギャルに聴いて欲しいんですよ。

え?

小林マイルドヤンキーをどう取り込むかって言う(笑)

全然届くと思いますよ。

AZUMAそうですかね?

さっき話題にしたEDMって郊外のマイルドヤンキー?な人たちには当たってるらしいんですよ。その意味で言うとAZUMAさんの曲が届く可能性はすごくあると思います。

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