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密着「DUBRISE∞」NUACEとタイトル未定が過ごした”どうかしている”2日間

今回レポートするNUANCEタイトル未定による「DUBRISE∞」は、NUANCEが所属する事務所MINIMALING STUDIOが主催する2マンイベントだ。元は3組による対バン「TRIPRISE」がその始まりとなっており、2組バージョンがDUBRISEで今回の「DUBRISE∞」が8回目の開催となる。

そもそもDUBRISEは、2組のアイドルが1曲ずつ交代でライブを披露するイベントだが、曲間がシームレスに繋がっていくライブイベントだ。

DUBRISEにはこれまでtipToe.、クロスノエシス、クマリデパート、Ringwanderung、SANDAL TELEPHONEが出演してきたが、今回NUANCEと一緒にDUBRISEを演じることになったのがDUBRISE初出演となるタイトル未定だ。

TOKYO IDOL FESTIVAL2022での活躍で一躍多くのアイドルファンに知られることとなったタイトル未定とこれまで数々のアイドルとのDUBRISEを重ねてきたNUANCE。2組のアイドルが果たしてどんなステージを見せてくれるのだろうか。

練習編

谷 乃愛による振り写し

「明日の練習、見にきますか?」

今回の密着取材はそんなNUANCEプロデューサーからのLINEから始まった。以前から何かにかこつけてはDUBRISEをプッシュしてきた身としては練習風景から見させていただけるのはまたとない機会。当然の快諾をさせていただいたのだが、お誘いをいただいた”明日の練習”が行われたのは9月16日(金)。本番を迎えるわずか2日前のことだった。

さらに出演の2組のスケジュールをよくよく確認すると、練習の翌日(本番前日)はNUANCEとタイトル未定が出演するイベントが神奈川であり、タイトル未定にいたってはその日の夜も渋谷でのイベント出演が決まっていた。

…ということは2組が顔を合わせてまともに練習ができるのはこの1日のみ。しかもDUBRISEは2組のプロデューサーがそれぞれに選曲した2部構成で開催されるのが恒例。要するに2組のメンバーは、NUANCEのプロデューサー版とタイトル未定のプロデューサー版の2つのDUBRISEを覚えなければならない。

過去に見てきたDUBRISEを思い起こしてみても”あの繋ぎ”を1度きりの練習で入れなければならないのは”どうかしている“と言わざるを得ない所業。これまで「すごい!すごい!」と手放しして喜んでいただけのDUBRISEだったが、その正体はとんでもない”鬼現場”だった。

この日の練習時間は14時から20時までの6時間。ワンマンライブのゲネプロかと思うぐらいの長時間の練習もここまで書いてきた色々を鑑みると6時間でも十分とは思えない。

そして14時を少し回った頃にいよいよ練習開始。最初はNUANCEプロデューサーのフジサキPが指揮を取る”fujisaki set”から始めることとなった。練習が始まって改めて気づいたのだが、本番でのセトリと曲の繋ぎの構成と演出は基本的に各々のプロデューサーが考案することになる。

DUBRISEに関しては一日の長があるフジサキPは曲間のプレゼンシートを広げて、繋ぎのタイミングと動きを説明し、実際にプレイ&チェックを繰り返す。

 

以前、NUANCEとクロスノエシスで行った「俺のダブライズ」というイベントでは、観客の目の前でセットリストを決定し、繋ぎはメンバーによる話し合いを中心に詰めていき、そこで決まった内容を実際に披露するという形式を取っていたので、なんとなくその時のイメージで進んでいくのものだと思っていたが、本チャンのDUBRISEはかなり様子が違い、より細かくより複雑な指示と確認が行き交う。

しかもいざメンバーたちが動き出しての練習が始まるとその進行は予想以上の早さで、少なければ1〜2回、多くても3〜4回の練習で次の曲へと進んでいく。

実際、そのくらいスピードで進めなければ最後まで終わらないというのは事実は理解できるものの、フジサキ氏が「はい。できました」と口にするたびにメンバーからの「できましてねーよ!ヽ(`Д´)ノプンプン」という心の声が聴こえてきた気がしないでもなかった。

DUBRISE∞中、ずっといちゃついていた蓮水恭美(NUANCE)と冨樫優花(タイトル未定)

この練習、当然大変なのはDUBRISE初挑戦のタイトル未定の方で、慣れない移動や自分たちのグループでは決してやらない振りにぶち当たると「キャー!!(笑)」という驚きとも悲鳴ともつかない声が度々上がる。またPからの指示を漏らさぬよう練習中もメンバーたちはスマホが手放せない。ちょっとした合間にPからの指示や動きのポイントなどをメモ&撮影する姿が常に見受けられた。

それでも普段から数々のライブを重ねてきている2組、急ピッチで練習が進む中でも”もしかして本当にできているのでは??”と思わせる飲み込みの早さで次々に演目を消化していったのだった…

 

練習の記念撮影。残すは本番!

リハーサル編

どこの繋ぎか分かりますか?

6時間の練習を終えた翌々日の9月18日(日)。名古屋 ell.FITS ALLに再度集まったNUANCEとタイトル未定。当日のタイムテーブルを見ると2組のリハーサルの時間がなんと2時間も確保されていた。

練習でやったことの最後と詰めと実際のステージで確認をするとなるとそれ相応の時間が必要なのは理解できるが、対バンイベントに2時間のリハーサルというのもあまり聞いたことがない。

さらに練習とは違い本番のライブとなるとPAさんと照明さんとの確認と詰めも不可欠。DUBRISEという特殊で複雑な構成にぶっつけで対応できるエンジニアがいるはずもなく、当日はNUANCEと関係が深いスタッフが駆けつけて準備に当たっていた。

プロデューサーと演者のアイドルに加えてエンジニアの時間と労力をフル稼働させている様子を見て、DUBRISEは総力戦のイベントなのだと気付かされた。

本番編

「#衛星とカラテア1411kmの旅」を乗り越えた衛星とカラテア

当日の会場となった名古屋 ell.FITS ALLは満員御礼。開場すると程なくフロアはファンの姿で埋まり、この先に繰り広げられるであろう”何か”への期待感に膨れ上がっていた。

そんなNUANCEとタイトル未定の共演に華を添える形でオープニングアクトに登場したのは衛星とカラテア

”名古屋まで来る枠”という無茶な条件を抽選で手に入れた衛星とカラテアは、DUBRISEの前日に仙台でのライブを行っており、そこから9時間のロングドライブを経ての名古屋へと駆けつけた。その過酷な工程を自ら「#衛星とカラテア1411kmの旅」と銘打つ自虐的なスタンスもむしろこのDUBRISEという”どうかしているイベント“のオープニングアクトにふさわしい。

そんな衛星とカラテアは長旅の疲労を感じさせずに5曲を披露。会場を埋め尽くした観客の前でオープニングアクトと呼ぶにはもったいないぐらいのパフォーマンスを見せ、ライブ後は次のDUBRISE候補?という声すら上がっていた。

 

そして、遂に迎えた「DUBRISE∞」本編。冒頭「薄明光線」のSEをバックにNUANCEとタイトル未定がステージイン。川井わか、冨樫優花の集まった観客にあいさつ。

“みんなあんなに頑張ったんだからとにかく無事に終わって欲しい”

ここまでの様々な人の努力を目の当たりにしてきたこともあって、期待感よりも親心の方が勝ってしまった今回のDUBRISE。まず先行したのはタイトル未定プロデューサーによるtsuima set。セットリストのコンセプトは「少女から大人へ」だったとか。

「鼓動」の決め

ライブはNUANCEの「under the moon」から始まりタイトル未定の「黎明」、そしてまたNUANCEの「ハルシオン」へと繋がっていく。その曲の間の僅かな時間にそれぞれのグループとその世界観が重なり、そしてまた離れていく唯一無二な時間。DUBRISEを初めて見たファンもこの空間が特別な何かであることに気づくのにそれほど時間はかからなかったのではないだろうか。その中でも特に印象的だったのが「鼓動」の最後の決めポーズ。優雅なダンスから一転した”決め”で終わりを迎えるこのアウトロをNUANCEとタイトル未定の9人バージョンのフォーメーションで組まれた。そしてその中央のポジションに立っていたのはNUANCEの蓮水恭美。現在のタイトル未定では見ることができなくなった幻の5人目のポジションは、事前の練習でタイトル未定の谷 乃愛が蓮水恭美へ丁寧に振り写しをしていたパートでもあり、本番でその決めが見事に決まった瞬間は心の拍手を贈りたいほどに美しい光景だった。

そしてtsuima setのトリを飾ったのはNUANCEの「sky balloon」。NUANCEとタイトル未定、そして互いのファンが一緒になって手を上げる様子は今回のDUBRISEでしか見ることができない光景。DUBRISEが普通の対バンイベントではない理由が凝縮された瞬間でもあった。

 

そんなtsuima setの余韻も冷めぬ中、続いて始まったのがNUANCEのプロデューサーによるfujisaki set。

「テキーラサンライズ」

DUBRISEのオリジネーターであるフジサキPのセットは選曲や曲順以外の部分にも細かな趣向が凝らされており、「溺れる」の歌詞の中にある”雨粒”というフレーズの中に一瞬だけNUANCEの「雨粒」のイントロが挟み込まれたり、「踏切」のイントロ部分でも再び「雨粒」のイントロが通り過ぎていったりと細かな演出が冴え渡る。

そんなfujisaki setでも個人的に最も心に残ったのが「灯火」の前後の繋ぎ。イントロで冨樫優花が火を灯していく振りに合わせて後列に並ぶNUANCEも外から中央に向かって順番に火が灯り、アウトロでは逆に中央から外に向かって火が消えていく振り付けが当てられていた。

9人だからできるフォーメーションの特性を使って「灯火」という曲の振り付けの中で表現されるメッセージもより強く際立たせたこの演出は、共演相手の楽曲に対する深い理解とリスペクトを感じずにはいられなかった。

練習で見たこの「灯火」を本番の見るのが一番の楽しみで、イベントを終えた今でも「灯火」という曲を聴くとDUBRISEの光景が頭に浮かぶようになってしまった。

さらにこの「灯火」の後の「テキーラサンライズ」の冒頭を全員で踊るパートは、フジサキPが「タイトル未定さんのファンに怒られる」と恐縮しながらも確信犯的に組んだに違いない繋ぎ。タイトル未定では決してやらないであろうダンスにチャレンジすることになったものの、当のメンバーたちはノリノリで取り組んでいた”裏見せ場”的なパートだった。

 

そしてfujisaki setも「雨粒」で終わりを迎え、クライマックスはNUANCEとタイトル未定が揃っての「みんなでミライサーカス」。この曲では歌い始めを担当する稀咲妃菜に対して、目前に控えた誕生日を祝うメンバーカラーの黄色のサイリウムを観客が一斉に振るサプライズ演出があり、さらに”ミライサーカス”にも、カエル(阿部葉菜)、ピエロ(冨樫優花)、クワッカワラビー(谷 乃愛)、シマエナガ(川本空)が新たな団員が加入。この日一番の大賑わいの中でDUBRISE∞は大団円となった。

 

終演後の挨拶ではの興奮が冷めやらないままの感想戦。短い間に濃すぎる時間を共有した者同士だからこそ生まれたハイテンションなやり取りからはDUBRISEを終えたメンバーたちの達成感が存分に伝わってきた。そこに長旅を超えてやってきたオープニングアクトの衛星とカラテアも加わってそれぞれの健闘を称え合いつつ記念撮影をしてDUBRISE∞は終了。

名古屋の地でDUBRISEはその歴史に新たな1ページを刻むこととなった。

DUBRISE∞健闘を称え合うの会

後日談

「DUBRISE∞」終了とに公開されたフジサキPのnoteによると、タイトル未定のプロデューサーから「もう一回演りたい気持ちともう二度と演りたくない気持ちが鬩ぎ合ってる…」というカミングアウトがあったらしく、その翌週に北海道で開催されたイベント「タイトル未定が贈る…フェヌュ北海道」での共演でもダブライズな演出があったとのこと。

ここであえて裏事情を隠さずに書くと、今回のライブの中、事前の練習通りにいかなかったところがいくつかあったのも事実で、タイトル未定のプロデューサーが告白した複雑な心境に加えて、タイトル未定のメンバーも負けず嫌いが多そう(?)ではあるので、この2組によるDUBRISEの再演はまた実現しそうに思えた。

そして、その時のDUBRISEは今回よりもさらに複雑でハイレベルなDUBRISEになることも期待しながら…。

NUANCEとタイトル未定と衛星とカラテア。次の共演はTRIPRISEで?

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