Finger Runsのアルバムリリースとその進化の一ヶ月をお届けする「Finger Runs進化論!」。
メンバー5人のうち三人が病に倒れるという緊急事態の中、8日連続ライブも進行中のFinger Runs。激タフな日々が続くことになった”ダブルM”こと朝倉みずほさんと中谷美月さんの二人は、この日二本目のイベント「IDOL CRUISING 2024」が行われる下北沢シャングリラへと向かいました…が、なんとここで二人を待っていたのは40分の長尺ライブ。
普段であれば絶好のアピールチャンスに違いないのですが、今回に限っては険しい試練の場。2マンライブや単独公演クラスの長丁場のステージに二人で挑むことになりました。
ただ、一本目と同じく二人のメンバーだけで厳しい戦場に向かわせまいと会場の下北沢シャングリラには多くのFinger Runsのファンが集結。しかもその直後の出番だった同じ事務所のMIGMA SHELTERのファンも加勢もあって、ライブ前には万全の援護体制が敷かれていました。
やがてフロアにサイレンの音が鳴り響くと「みなさんこんにちはー!こんばんはー!イチ、ニィ!今日は二人のFinger Runsでーす!」(朝倉)、「よろしくぅ!」(中谷)とダブルMの二人が登場。
美月さんの「見逃すなよ!Escape!!!!!!」と煽るタイミングもバッチリで、二本目のライブにして早くもコンビとしての成長を感じさせる二人。
二曲目の「√G」では「解放の時間だ!」の歌とシャングリラの爆音に後押しされて乱舞するファンの影でフロアは埋め尽くされ、メンバー二人も「みなさんこんにちは、今日は二人だけだけどみんな40分間一緒に遊ぼーぜー」(朝)、「あそぼうぜぃっ!」(中)とノリノリな様子。
一本目のライブの前の控室で「次のライブ、40分なんですよぉー」とあっけらかんと話していたみずほさん。これまで数々の修羅場をくぐり抜けてきたからこそ出すことができる逞しさと明るさは窮地に立った今こそ頼もしく、そんなみずほさんのリードに食らいついていく美月さんというダブルMのチームオーダーも形作られていったライブとなりました。
とはいえ、そもそも5人のFinger Runsのために作られた曲とダンスを二人でパフォーマンスし続けるのはかなりのハードワーク。ライブの中盤を迎える頃にはさすがに身を削っている様子が目につくようになってきたみずほさん。
「Agitator」で振り絞り出すような声で「みんなの時間くれんの!?」「いい思い出にしよ!!」と過酷な現実を観客に突きつけるようなシャウトを放つと、一方の美月さんも自らの限界と戦いながら目の前にある歌とダンスに全精力を傾けている姿が見て取れました。
そんな互いの感情が溢れ出たのか「Bluelight Knight」では二人が抱擁する光景もあり、さらに今回のステージの臨界点といってもいい「ユレルミライ」を迎えることとなります。
Finger Runs楽曲の中で鬱屈した暗澹たる世界観がメンバーのパフォーマンスとともに表現される「ユレルミライ」のはすが、このステージに限っては全ての感情を吐き出すように歌うみずほさんと、そんなみずほさんに共鳴するような激しく歌い踊る美月さんの姿がそこにあり、まるで「ユレルミライ」に潜んでいる全く別の顔を垣間見た気持ちにさえなりました。
そうして始まる前は長尺に感じられた40分も、二人のパフォーマンスに目と心を奪われたままあっという間に過ぎていき、「次は5人で会いましょう」というみずほさんの言葉でライブは終了。
…そんな壮絶なライブを終えた後、いつもの集合写真を撮ろうと二人のいる場所へ向かうと、そこにはみずほさんに抱きかかえられながら号泣している美月さんの姿が。
それまでの緊張が一気に解け涙が止まらなくなっている美月さんと、そんな美月さんを優しくねぎらうみずほさんという構図は、さっきまで見ていたステージのもう一つのリアルな姿であり、Finger Runsというグループの縮図を示しているようでもありました。
かくしてアルバムリリースを前にした最大級のピンチを乗り越えたダブルMの二人。そして休むことなくまた次のライブへと向かっていくFinger Runsの進化が見逃せない!
「iDOL CRUISING 2024」セットリスト
2024年2月11日(日)@下北沢シャングリラ
1.Escape!!
2.√G
3.Night Thinker
4.Storm Rider
5.Butterfly
6.Agitator
7.絶頂Venus
8.Bluelight Knight
9.ユレルミライ
10.FYI