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アイドル第四編集室

唯一無二のアイドル映画「IDOL NEVER DiES」で見てきたこと感じたこと -とあるスチールスタッフの思い出-

ギュウ農フェスがプロデュースした映画プロジェクト「ギュウ農シネマ」の作品「IDOL NEVER DiES」(アイドルネバーダイ)が、1/30(月)にアップリンク吉祥寺で上映されるそうです。

▼ ギュウ農シネマのツイート
https://twitter.com/gyuno_cinema/status/1618145047815524352

その前の1/9には下北沢K2で上映もあり、その上映後のトークイベントでは不肖ながら僕が進行役も務めさせていただきました。(その時の様子は1/31まで有償配信されているのでぜひチェックを)

▼ ギュウ農シネマトークイベントライブ配信
https://edge.town/?p=1278

今後の動きがどうなっていくかは分かりませんが、上映に関しては1/30で一段落?そしてソフト化へ?という感じなのでしょうか。

1/9のイベントもそうですが、個人的に「IDOL NEVER DiES」に関してはスチール担当としてオーディションの時から参加したのにはじまり、クラウドファンディングのリターン制作のお手伝い、ブラッドチェリーのライブイベントの企画・運営・配信、出演者のトークイベント開催、パンフレット作成などなどに携わらせていただきました。

特にスチールに関しては自分が撮った写真が劇場で上映される映画のエンディングに映し出されるというのはなかなかできないことな上に、思った以上にたくさんの写真を使っていただき、とても貴重な経験だったと思っています。

映画制作は”お祭り”だ。

実は映画の現場に立ち会うのはこれが初めてではなかったのですが、オーディションの異常な緊張感、栃木ロケの灼熱地獄の5日間、試写会イベント、そして2022年5月から始まったシネ・リーブル池袋での上映と、立ち上げから完成までをつぶさに見させていただくのは初めてのこと。

何十人ものスタッフやキャストが一堂に会して濃度の高い時間を過ごす現場の熱量や人の思いの集合体というのは今まで経験したどの現場とも違っていました。そんな中でも冗談を言い合うこともあったり、トラブルもあったり、大変な局面もあったりしましたが、時間が経つにつれてスタッフ間にも不思議な一体感や連帯感が生まれ、クランクアップを迎えた時には得も言われない高揚感や充足感を感じたのを覚えています。

「すげー大変だったな」

と終わった瞬間は思ってみても時間が経ち上映が近づいてくると、あの活気に溢れていた時間が懐かしく思えてきたり、またやりたいなという気持ちも芽生えてくる。個人的に一番近いのは毎年やる夏祭り前後に去来するあの感覚を思い出しました。

「そんなひとときを青春時代と呼ぶのだろう」という歌がありましたがそれともちょっと似ている気がします。

「IDOL NEVER DiES」に隠された(?)現代アイドルのリアルな物語。

この記事を書くのにあたって過去のことを色々思い出してみたのですが、フライヤー制作に関する議論の中で僕がやたらと「『IDOL NEVER DiES』はアイドル映画です!」とアイドル映画であることにやたらとこだわっていたことがありました。

その理由はたくさんの現役アイドルたちが大活躍している映画だからというのももちろんなのですが、それとは別にこの映画がメグという一人の女の子がアイドルになっていく様を描いている映画だと気づいたことがきっかけでした。

映画本編の物語のようになんでもない普通の女の子(しかもどちらかというとコミュニティから外れがちな)が、アイドルになることをきっかけにして人間性を取り戻したり、他者との関係性を深めながら成長していくというストーリーは現実のアイドルの世界でも頻繁に起きていることで、かつそれは極めてリアルタイムなアイドルの姿です。この映画の中のメグはそんな現代的なアイドルを象徴するかのようにスクリーンの中に登場し奮闘しそしてアイドルである自分を受け入れてクライマックスを迎えます。

栃木の撮影も終盤になった頃、井口監督にイブニングローリーのメンバーのお芝居についての感想を尋ねたことがありました。すると監督は「みなさんだんだん女優っぽくなってきましたし、桃果さんもアイドルになってきましたよね」と仰っていました。

実際にこの映画のメインキャストの中では唯一現役アイドルではないキャストとして撮影に参加した桃果さん。いつもの撮影とは違う環境に多少の違和感もあったと思うのですが、その桃果さんが撮影を通じて徐々にアイドルになっていった様子、そして映画の中のメグも物語が進むのとともにアイドルである自分を受け入れていく様子が描かれています。

この映画を通じて、桃果さんという俳優そしてメグとアイドルという間にはそんなシンクロニシティが起きていました。

そのことを井口監督が狙っていたかは定かではないですが、その監督の言葉を聞いたことでこの「IDOL NEVER DiES」はギュウ農フェスが作った映画という枠組みを大きく超えた、アイドルについての普遍的な価値やテーマを内包している作品になったような気がしました。

そういったこともあって「IDOL NEVER DiESは何映画だ?」の問い対する僕の答えは当然”アイドル映画”でしたし、口にこそ出さなかったものの「これがアイドル映画じゃなかったら一体何がアイドル映画と言えるんだ!?」ぐらいのことまで思っていました(笑)

パンフレットに込めたメッセージ

「IDOL NEVER DiES」フライヤー

実際のフライヤーでは”青春SF映画”という言葉があたることになりましたがこれには全く異論がありません。かなりの”SF”でしたし、濃厚すぎる制作の過程は後から振り返って”青春”と呼ぶにふさわしく、この映画を真正面から捉えた表現だと思います。

ただ、個人的には前述した”桃果さんがアイドルになる物語”という裏テーマ(?)が常に頭に残っていて、ギュウゾウさんから映画のパンフレット制作の話をいただいた時に(チラシは別の方の制作でした)、僕が勝手に感じ取った裏テーマをフィーチャーする方法はないかな?と考えました。

既にパンフレットをご覧になられた方は分かると思いますが、あのパンフレットはパット見て分かるような裏表がない作りになっています。そして先に完成したチラシの色をモチーフにしたピンクの面は、作品をダイジェスト的に振り返ることができる絵巻をモチーフにした構成にしています。

「IDOL NEVER DiES」パンフレット

映画を見終わった帰りの電車や家でもう一度映画を振り返ることができるよう印象的なシーンとキャストたちの言葉を時系列で並べているのですがクライマックスの写真が載っている最後のページをさらに裏返すと…

特技は、アイドルです。

というメグのセリフで締めくくられるようになっています。

で、そこからまた次のページの監督のインタビューが続くという流れです。これは映画のシナリオが円環構成っぽくなっていることをなぞらえた作りでもあるのですが、メグが人としてアイドルして成長した姿、そしてこの映画そのものを象徴する最後の名セリフを形に残したかったのが一番の狙いでした。

あのシーン自体が撮影の最終日に行われたこともあり、桃果さんの表情と言葉には「IDOL NEVER DiES」の集大成が詰まっていたなぁ…と今見返しても少し鼻白むところがある名シーンです。

「世界一かわいいトーテムポール」とは

「特技は、アイドルです。」以外にも名シーンだらけだった「IDOL NEVER DiES」ですが、劇中のヨシエ(工藤菫さん)とメグ(桃果さん)による”合体シーン”が印象に残っている方も多いと思います。

あのシーンは栃木ロケの最終日の5日目に撮影されたシーンでした。その時のエピソードは舞台挨拶や過去のトークイベントなどでも語られていますが、あの日は天候が非常に不安定でいつ大雨に見舞われてもおかしくない状況でした。しかも栃木ロケの最終日は時間との戦いでもあり、ラストカットを撮り終わった終わった30分後には周囲が真っ暗。ギリギリまで映像を収め続けるぞ!という井口監督の映画にかける執念や胆力をその背中から最も強く感じた一日でもありました。

Tシャツをカットする場所を確認しています

さて、”問題の合体シーン”については、事前に脚本を読ませてもらった段階でもどう撮影するのか全く想像できなかったのですが現場の撮影準備の様子を見てびっくり。ただ単に工藤さんが着ているTシャツを切って桃果さんがそこに潜り込むという超々アナログスタイル。さらにこのシーンの撮影の時に限って猛烈な風が吹いていて、桃果さんと工藤さんの両サイド数十センチのところに立てたレフ板を何人もで支えるという力技が支えていたシーンでもありました。

しかし、そんな逆境の数々を吹き飛ばすぐらいのかわいさを放っていたのが二人の合体した姿です。スチールを撮っていて思わず「世界で一番かわいいトーテムポールだな」と思ったのがこの一枚でした。

世界一かわいいトーテムポール

客観的かつ冷静に見るとかなり滑稽な姿ではあるのですがそれをここまでかわいい画にしてしまう桃果さんと工藤さん。

不意に度肝が抜かれるほどにかわいい姿と直面するというアイドルあるあるは山ほど経験してきているのですが、それでもびっくりするほどかわいかったお二人でした。

この写真も含め撮影した素材はお渡しして「何に使ってもいいですよ」とお伝えしていたのですがこれまで日の目を見てこなかったのでお蔵入りになる前にここで使わせていただきました。ちなみにカバーに使った写真もそのシーンでのスナップです。撮影した全ての素材の中でもかなりお気に入りの一枚で、この写真を見てると”青春してるなぁ…”としみじみしてしまいます。

もちろんこの二人のシーンの他にも、ブラジルさん(ハル)のダンス、楓フウカさん(リョウコ)の○○、餃子を食べるのが誰よりも似合う中川美優さんなどなど語るべきシーンは山ほどあるのですが、それはまた別の機会があれば…。

ブラッドチェリーはどこへゆく?

ハルの怒りがLOVEに変わった瞬間、ブラチェの存在もなくなってしまったのか?

映画本編の中では敵役ながら、舞台挨拶やトークイベントなどスクリーンの外では主役級の大活躍をしているブラッドチェリーの面々ですが、彼女たちの今後はどうなっていくのでしょうか?

1/9のトークイベント(1/31まで有償配信中)では井口監督自らブラッドチェリーのスピンオフ作品への言及があったり、ファンの方からも「ブラチェのメンバーがどうやって出会ったかを知りたい」という声もあったりで期待は高まる一方。

個人的には実写作品以外にもアニメやマンガの方向もあるんじゃないかと思ったりするのですが、実現に向けては周囲のざわつき&盛り上がりが不可欠だと思うのでギュウ農シネマの1/30以降の動きにも注目していきたいと思います。

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