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アイドル第四編集室

“揺らぐ物語と現実の境目” 椎名ひかり主演の映画「少女ピカレスク」が面白かった。

2018年7月6日(金)に椎名ひかり(ぴかりん)が主演の映画「少女ピカレスク」を見にシネマート新宿に行ってきました。

【注意】以降ネタバレを恐れずに書いていきますので予めご了承ください。

映画を見に行った当日が”声出し上映”(映画を見ながらワイワイ騒いでいいヤツ)の日ということで、会場には主演のHIKARI役のぴかりん、日菜子役の長澤茉里奈さん、そして映像監督・前田役の松永天馬(アーバンギャルド)の3名も姿を見せ、出演者たちによるコメンタリー&観客の声援という賑やかな中での鑑賞となりました。

僕は映画自体その日が初見だったので、”声出し”によって次の展開が分かってしまうことも時折ありながらでしたが、映画自体がミステリーとかではないのでほとんど気にはならなかったですし、演者さんやお客さんによるツッコミに思わず笑ってしまうところもあり、総じてとても楽しかったです。

ちなみに本作品の監督は井口昇さん。日本B級映画不朽の名作「片腕マシンガール」を生んだ井口昇監督です。
その井口さんが監督な訳ですから「万引き家族」のような重厚なテーマや「デッド・プール」のような特撮アクションを期待するはずもなく、”それなりのモノ”を見るつもりで劇場に足を運びました。

映画のあらすじですが、地下アイドル活動をしている主人公のHIKARIがミュージックビデオの撮影で出会った日菜子(長澤茉里奈)、亜依(神門実里)と出会い、その後に3人の間に起きる不穏で不可思議な出来事を動画の生配信を通じて語られていきます。そして時間を追うごとに不穏な空気は濃くなっていき、その真相が明らかになると物語は悲劇的な結末を迎えます。

一人の中に存在する2つの心。そのどちらの心がその人を支配するのか!?といういわゆる多重人格設定は特に真新しいものではないですが、それを演じているのが椎名ひかりというのが、この映画の一番のフックポイントではないでしょうか。

主人公の椎名ひかりは(ご存知の方も多いでしょうが)、雑誌のモデルとしてキャリアをスタートさせた一方で、魔界人アイドル・椎名ぴかりんという全く別の顔も持っています。
この裏と表の二面性が、そのまま映画の中でもHIKARIとちーちゃんという多重人格という形で描かれています。

それが最も象徴的に描かれていたのがエンディングでのライブシーン。裏の人格”ちーちゃん”が「HIKARI、踊って見せてよ」と表の人格HIKARIを呼び寄せ、人格を交差させながらHIKARIとちーちゃんがそれまで拒んでいた互いの存在を認め合う…というよりは、HIKARIがちーちゃんの人格を受け入れていく様子が映し出されていました。

このシーン自体は物語の中ではあるのですが、椎名ひかり(あるいはぴかりん)のファンの中には物語と現実の境目があやふやになったり、認識や理解の危うさを感じた人もいたのではないでしょうか。実際、僕自身それを多少感じましたし、この映画の持っていうメッセージを最も強く感じたのがこのラストシーンでした。

個人的な趣味ですが、こういうダークサイドに堕ちる系の映画や悪い人はただただ悪い系の映画(例えば「時計じかけのオレンジ」や柳楽優弥主演の「ディストラクション・ベイビーズ」)が大好きなのでこの「少女ピカレスク」の結末はとても後味が良かったです。

クライマックスは井口監督の真骨頂!エロくて、サディスティックで、大出血!!

あと、この映画の最大の見どころは映画の後半、クライマックスでのちーちゃんの凶行シーン。

“ちーちゃん化”したHIKARIが、日菜子と亜依を次々に手にかけていくのですが、正直に言ってここまでの展開は「片腕マシンガール」ファンとしては物足りなさすら感じていたのですが、このシーンでは文字通りの”出血大サービス”。

これでもか!とばかりにサディスティックにエロティックに日菜子と亜依を追い込んでいくちーちゃん。現役アイドル同士によるベッドでの”眼球舐め”シーンは映画という枠組みの中でないとなかなか見れませんし、ちーちゃんに強要されて日菜子が自らジューサーミキサーに手を突っ込むシーンはこれぞ井口昇監督の真骨頂という感じでした。

「少女ピカレスク」はいわゆる”アイドル映画”ではありながら、期待していた以上に色々な見方ができる映画でした。椎名ひかりを始め出演者たちに興味が湧いたのはもちろん、椎名ひかりが主演だったから描き出せたメッセージがあった映画だったようにも思います。

今のところ今後の劇場公開の予定はないようですが、CS「ファミリー劇場CLUB」での配信予定とのこと(Wikipedia情報)。
冒頭にも書いた通り万人ウケする映画ではないと思うのですが、2018年に見た映画として確実に記憶に残る作品でしたし、先述したクライマックスシーンは映画鑑賞後ももう一回見返したいなと思えたところですので、演者きっかけ、監督きっかけ、エロきっかけ、出血きっかけetc…なんでもいいので鑑賞のタイミングがあった際には是非見てらえたらと思います。

2018年8月3日(金)には渋谷Loft9で椎名ひかり、長澤茉里奈、神門実里、井口昇監督が出演するイベントもあるようです。映画を見逃してしまった方もまずはこのイベントから「少女ピカレスク」の世界に触れ、再上映を待つのもよいのではないでしょうか。

『少女ピカレスク 真夏の怪合』発表&特典会に関する追加のお知らせ
https://ameblo.jp/syojopicaresque/entry-12394410129.html

…あ。もう一つ大事なことを書き漏らしていました。

PV監督役で出演しているアーバンギャルドの松永天馬さん。
これ以上ないぐらいの死亡フラグを立てて登場してその通りに死んでいきますが、最期を迎える前に天馬さんが放った「肌がとれたよぉぉぉ〜」はこの映画一の爆笑名ゼリフでした。

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