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COLUMN

あの日、KT ZeppYokohamaでnuanceを見たmusicite編集長の回顧録

「最近のアイドルシーンで見かけなくなったどうかしてる大人」

配信番組「ガチ恋ベイビーvol.3」にて、こんな失礼な肩書で紹介させてもらったフジサキケンタロウさん。本稿の主役、nuanceが所属するミニマリングスタジオの代表の方です。

アイドル戦国時代の黎明期。そこに集まってくる”大人”の多くは、”やってやる”という野心や”今に見てろよ”という反逆心を燃やしているか、そうした思いとはむしろ関係なくそもそも根本的に”どうかしている”人たちばかりでした。

また、その”どうかしている大人”の共通点は、突飛な発想力、それを形にしてしまう実行力、そしてそれらの前提となる圧倒的な行動力持っていること、時としてそれらが度を越してしまうことはあるもののどこか憎み切れない人柄も兼ね備えていました。

その一方で昨今のアイドルシーンはそのスタイルもコンセプトも洗練されたグループが目立つようになり、そのことに多少の寂しさも感じていたのですが久しぶりに「これはどうかしているぞ!」と思わせてくれる大人とアイドルがフジサキさんでありnuanceでした。

nuance自体の結成は2017年なので、その存在はもちろん知っていましたし、ライブも数々見ていたのですが、自らの勉強不足もあってその動向に注目し始めたのは2020年6月に開催されたクロスノエシスとの2マンイベント「dubrise2」からでした。そこで繰り広げられたセンス・オブ・ワンダーなライブな演出がどれだけの衝撃的だったかについては過去のnuanceのインタビューや配信番組「ガチ恋ベイビーvol.4」でしつこく話しているのでそちらをご参照いただければと思うのですが、そのnuanceが満を持して開催するワンマン”「botäwnie plus」~tadaima~”であればそれは普通のライブにならないことは容易に想像がついたのでした。

会場に入ってまず目に入ってきた2バンド分の楽器が並べられたステージ。2バンドセットであることは事前から告知されていましたが、中でもステージの左右に鎮座したドラムは光景は存在感たっぷり。否が応でもライブへの期待が高まりました。

やがてステージが暗転して汽笛の音を合図にしたSEの「home」が流れる中にnuanceの4人が登場、そのままnuanceはM1の「白昼ブランコ」が始まったものの音源はオケのまま。「あれ?」と少し肩透かしを食らった感じのオープニングでしたが、曲中にステージ左右の袖からバンドメンバーが登場し、そのままの流れでサビでバンド演奏のライブへと移行していきました。

「なんとオシャレな演出なんだ…」

これまで見てきたアイドルのバンドライブで、バンドメンバーさん登場の”間”が気になることが時々あったのですが、その登場シーンすら演出の中に織り込んでしまうオシャレな趣向にまずは心の大拍手。

…とはいえ、「そもそもなぜ2バンドセットに?」という素朴な疑問はまだ少し残っていたのですが、そこには”ライブ全編を通じての音楽空間の演出”という意図があったのかな?と感じました。

この日のnuanceは本編24曲、アンコール1曲という大ボリュームのライブだったのですが、途中のMCは数回のインターバル程度で、その間もバンド演奏によるBGMが挟まれるなど、会場には音楽が常にあり続けました。それを通常のバンドセットで実現するのは困難と考えた結果が2バンドセットという選択になったのは自然なことだったのかもしれません。ただ、その2バンドセットをバックにパフォーマンス仕切ったメンバーも圧巻で、みおさんが「ちょっと疲れたw」とボヤく程度のタフネスぶりだったことにも驚かされました。

そんな2バンドセットのライブでこの日一番驚いたのは、新曲「under the moon」から「サーカスの来ない街」へのつなぎでした。「under the moon」のアウトロに「サーカスの来ない街」のリフが重なっていく様をみて「うわっ!dubriseじゃん!!!」と思ったのは僕だけでしょうか。カラオケ音源だからこそ可能と思っていたdubriseの”鬼つなぎ”をバンドの生演奏で見れたことは、nuanceの歴史を振り返る上で少なくとも数年は語り継ぎたい名シーンでした。

そして、その後に続いたのは「luxury nuance」のパート。過去に2回単独のイベントとして開催された「luxury nuance」は、アンプラグドなライブを彷彿させるほど豪華にそして贅沢にアレンジされたnuanceの楽曲と歌を楽しむひととき。この日は「byebye」「tomodachi」「sanzan」の3曲が披露されましたが、「sanzan」の曲中にそれまでイスに腰掛けていたメンバーが立ち上がると、そのイスを片付け終えるタイミングに合わせて「sanzan」はラグジュアリーバージョンからバンドのフル演奏バージョンへと一転。静から動へダイナミックな変化もかなりのインパクトでしたが、nuanceの4人がイスから立った時に感じさせた”何か来そう!”という期待に最高の形で応えてくれたのがこの瞬間でした。

また、この日のライブで前述の「under the moon」の他に「テキーラサンライズ」「KaMoMe」の新曲も披露したnuance。中でも「KaMoMe」は完全なる初披露である上に、この3曲ともが新しい振付師の先生による振りとのこと。これらの楽曲がnuanceの新たな魅力を開拓することになるのかも?と思うとこの先どんな形で進化していくのかが楽しみでなりません。

そんなM15の「KaMoMe」を披露し終えると少し長めのMCタイム。次に控えていた「I know power」は、わかさん曰く「nuanceの中でも一番ダンスがきつい曲」(ガチ恋ベイビーより)とのこと。ここまでほぼぶっ通しでライブし続けてきたメンバーへの最初のブレイクタイムが「I know power」の前だったのは、もしかするとフジサキ氏の”気遣い”だったのかもしれないですが、そこからライブはいよいよクライマックスを迎えました。「sekisyo」でmisakiさんが他の3人の肩を抱きかかえるように身を寄せ合うと、ステージ上にはより一層楽しげな空気がステージ上に溢れ返り、「ミライサーカス」でバンドメンバー紹介の最後にメンバーの一員として「そして…お客さーん!!」と呼びかけた時に会場全体を包んだ一体感と多幸感はこの日のピークを迎えていました。

”この時間が永遠に続けばいいのに…”

なんてことを思いながら「タイムマジックロンリー」でひとしきり盛り上がる様子を見ていたその直後、残酷にも思えるぐらいにあの曲のイントロがKT ZeppYokohamaに響き渡りました。そう、「雨粒」です。

このライブで絶対に見たかったはずの「雨粒」のイントロは、このライブが終演に近づいていることを告げていて、「あ、終わる…。nuanceがこのワンマンを終わらせようとしている…」と寂しさが一気に込み上げてきました。

わかさんの「雨粒の音が窓を打つ」の歌い出しが、そして真夜中に訪れた台風のごとく激しくぶつかり合うサビのサウンドが、この日に限って心から切なく耳に響いてきます。さらにその後に続いた本編の最後の曲「wish」で踊る4人の姿は!湖面を舞う白鳥のようにただただ儚くて愛おしくて…。最後に4人が観客に深々とおじぎをしてステージを去っていく姿をこれ以上ない感謝の拍手で見送りました。

本編終了後、程なくアンコールに戻ってきた4人は一人ずつ会場に集まったファンと配信を見ているファンにメッセージ。その内容はというと、どうしても間ができてしまったり(みお)、テキーラ”サン”ライズだったり(わか)、「みんながいたから辞めなくてがんばれた(涙)」だったり(珠理)、”でしゃばりパイナップル”だったり(misaki)で、本編での感動をまるっと返して欲しいぐらいのユルさでしたが、もしかしたらnuanceがローカルアイドルであることをこの日初めて感じさせたシーンだったのかもしれません。
また、そのMCの中で珠理さんは、この日のライブがnuanceにとって活動5年目の最初のライブであったことも伝えていました。そんなnuanceが最後に披露したのは、4人の出発点となったアルバム「gachi choco!」に収録された「シャララ シャララ」。

5年目の第一歩を自分たちが生まれ育った横浜で踏み出したnuanceはこの先どこに向かっていくのでしょうか。秋にはグループにとって初となるTOKYO IDOL FESTIVALへの出演が決まり、さらにニューアルバムのリリースも予定されているらしい(?)nuanceの5年目は大躍進の一年となるかもしれません。また、この日のワンマンはそれを十分に期待させるものでした。

最後は生声でのあいさつが何度やってもタイミングが合わない様子を見てしまうと、そうした期待に一抹の不安を感じなくもなかったのですが、それでこそのnuanceであり、そのままのnuanceがこの先に活躍していく姿を思い描きながらKT ZeppYokohamaを後にしました。


nuance ワンマンライブ「botäwnie plus」~tadaima~ セットリスト
2021年6月26日@KT ZeppYokohama
SE home
1.白昼ブランコ
2.ナナイロナミダ
3.セツナシンドローム
4.last a way
5.Love chocolate?
6.ピオニー
7.which ‘s witch
8.under the moon
9.サーカスの来ない街
10.byebye(luxury)
11.tomodachi(luxury)
12.sanzan(luxury)
13.ハーバームーン
14.テキーラサンライズ
15.KaMoMe
16.I know power
17.cosmo
18.sekisyo
19.ai-oi
20.初恋ペダル
21.ミライサーカス
22.タイムマジックロンリー
23.雨粒
24.wish
en1.シャララ シャララ

リンク
nuance オフィシャルサイト http://nuance.blue/
nuance オフィシャルtwitter https://twitter.com/nuance_official

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