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せのしすたぁ 東京初ワンマンで2014年を”優勝”とその軌跡を辿る

福井県のローカルアイドルせのしすたぁが2014年12月28日に下北沢シェルターでワンマンライブ「せのしすたぁ 初東京ワンマンライブ 2014 優勝」を開催。ソールドアウト公演となったステージで盛大に大活躍の1年を締めくくった。(photo by 山田秀樹)

 

ファンも巻き込んだ熱狂的なライブが注目を集め、夏の@JAM EXPO 2014に出演をきっかけにアイドルシーンでも話題のグループになったせのしすたぁ。12月13日にリリースした2ndアルバム「I’m sick too !!!」は、リリース当日のsoundcloud配信のニュースとともにCDショップで品薄になるほどの反響を呼び、さらに25日には新曲「TONIGHT」をフリーダウンロードでリリースするなど次々に話題を振りまいてきた。そんなせのしすたぁが1年を締めくくる一大イベントとして開催したのが「せのしすたぁ 初東京ワンマンライブ 2014 優勝」。午前11:30開演のライブにも関わらずチケットは早々にソールドアウト。満員のファンが下北沢シェルターを埋め尽くしていた。

初めてせのしすたぁを見たのは2014年2月9日、池袋KINGSX TOKYOでのイベント「Happiness!!-COMPLETE the IDOL-」でのこと。当時はまだ今の体制になる前の2人体制のせのしすたぁだった。白のワイシャツに黒のネクタイとパンツ、そしてキエるマキュウを連想させる紙袋をかぶったスタイルが印象的で、ライブの方は口パクで歌うことすら放棄したまおが自由にステージ、フロア、会場の中も外も構わず走り回り、とにかく目立ったもの勝ち、少し悪く言えばルール無用のならず者と言った感じだった。

そして10ヶ月余りを経たせのしすたぁ。下北沢シェルターのワンマンライブに登場した姿は初めて見た時と同じスタイルで、まおは序盤からスピーカーによじ登ってファンを煽り、クラウドサーフでフロアに飛び出しての暴れっぷり。やっていることは2月とほとんど変わらなかったが唯一違ったのはまおのサーフをしっかり支えられるほどのファンで埋め尽くされていたことだ。

当時、旧知のせのしすたぁファンに猛プッシュを受け、当時YouTubeで後悔されていた「アイドルなんてなっちゃダメ!ゼッタイ!」のPVをきっかけにせのしすたぁのキャッチーなメロディ、卓越した歌詞の内容に興味が湧いたものの何故かせのしすたぁは活動休止状態になっていた。

ワンマンライブの方はいつも通りの激しいライブで口火を切ったが、比較的早めの段階で「いえない」「TONIGHT」「Maybe I Like You」と言ったミディアムテンポな楽曲をまとめられていた。「いえない」が生歌だったり、「TONIGHT」が初披露だったりと、ワンマンだからできるチャレンジもあったが、そこには”聴かせるせのしすたぁ”も見てもらいたい明確な意図が感じられた。

「とんでもない逸材だったかもしれない…」「もう少し早く見つけてれば…」そんなモヤモヤが2ヶ月弱続いた後、せのしすたぁは突然新曲「NOW」のPVをYouTubeで公開した。そしてそこに映っていたのはまおと見慣れぬ女の子二人。後にそれがみかとゆーたんと分かったが、なにより当時既に魅了されっぱなしだったせのしすたぁサウンドの復活に心が踊った。

パジャマの衣装に着替えたライブの後半は前半以上の臨戦態勢で「戦いの合図」「あいどるなんてなっちゃダメ!ゼッタイ!」を披露。まおがヒートアップしたフロアに向けて水を吹きかける”聖水プレイ”を見せれば、ファンが自分たちで用意したシャンパンを互いに回しあったり、ライブというよりはパーティーの様相を呈しはじめた。そこにさらに追い打ちをかけるように登場したのがシークレットゲストのライムベリーだった。怒号のような歓声で迎えられたライムベリーは、以前ライムベリーの自主イベント「TOKYO PLAY GROUND」でコラボレートした「ハートブレイカー」を再演。せのしすたぁのワンマンに最高の華を添えた。

復活後のせのしすたぁがライブの度に「パーティー」と「最高かよ!」という言葉を繰り返し使っていた。歌うこともそっちのけで観客を煽り、ステージとフロアを隔てないで全員が一体となって盛り上がる様子はライブというよりパーティーと呼んだ方がふさわしかったし、せのしすたぁのステージはいつも”最高”だった。

まだ見ぬライムベリーがシェルターのステージに登場する直前、まおは「どんなライブをするんですか?」と呼びかけた。扉を隔てた楽屋からは「パーティーします」との答えが返ってきた。奇しくも”パーティー”の言葉で繋がったせのしすたぁとライムベリー。この2組がライブで見せるシナジーはアイドルシーン屈指と言っていい。「ハートブレイカー」の音源化を願いつつも、せのしすたぁとライムベリーのコラボレートは今後も期待したい。

せのしすたぁは復活後のライブでよく泣いていた。しかも「NOW」の曲振りでの涙が多かった。特に7月5日のアシッドパンダカフェではファンがマイクを取った曲振りに歌えなくなるほど号泣していたまおの姿は特に印象的で、後の取材でまおはそのライブを境に「流れに乗った」と語っていた。メンバーの脱退、そして新体制での活動再開までの間にあった経緯の別のインタビュー(「NOW -今しかない。やるしかない-」)でその一端が伺えるが、2014年のせのしすたぁにとって「NOW」が大きな節目になったのは間違いないだろう。

そしてライムベリーとの共演を終えたワンマンライブの方でも遂に「NOW」を迎えることになった。この日、曲振りのマイクを握ったのはまおは、一時はせのしすたぁを辞めることも考えていたこと、そんな状況を支えてくれたみか、ゆーたん、マネージャー森永氏、そしてファンへの感謝を伝え、「足りないことはたくさんありますけど、今頑張るしかありません。聴いて下さい”NOW”!」ときれいに振りを決めた…が、まさかの手違いでオケがストップ。平謝りする森永氏がマイクを引き継いで改めて曲振りを行うことに。その森永氏の口からは、まお中心になってしまうグループにいても腐らず支えてきたみかとゆーたんに「ありがとうございました」と感謝の言葉が添えられた。そして「今を精一杯楽しみましょう!NOW!」の振りで始まった「NOW」は3人ともが泣き崩れそうなほどに涙を流した一曲となった。

他人にせのしすたぁを勧める時、「とにかくすごいですよ」「見ておいた方がいいですよ」と伝えるぐらいで、あまり細かい話はしないことの方が多い。ライブを見てもらえれば、とりわけ「ワタシアイドル」を見てさえもらえればあまり説明は要らなかったからだ。「みんなありがとう。いつもありがとう。」とファンに土下座するせのしすたぁが四方のケチャを受ける光景を見た時の衝撃は未だに強く残っている。

ワンマンでもライブ本編の最後を飾った「ワタシアイドル」でもその光景は再現されていた。ファンで埋まった下北沢シェルターは「土下座3人分」(by ゆーたん)を確保するのも難しいほどの人口密度だったが、「ワタシアイドル」が作る光景はこの日も最高の光景を作っていた。
アンコールで、今や「ワタシアイドル」に次ぐ定番曲になりつつある「ラストチューン」を披露した後、ライブの最後に「ワタシアイドル」を再び披露した。生歌と言うスペシャルな「ワタシアイドル」だったが、そこにさらなるスペシャルを付け加えたのはファンが仕込んだサプライズだった。落ちサビでせのしすたぁを取り囲んだのはケチャの手ではなく、色とりどりの無数のサイリウム。光に包まれたせのしすたぁの3人は驚きと感動で絶句し涙を見せていたが、その涙の意味は「NOW」の時とは違っていたはずだ。

「優勝!」。@JAM EXPO 2014でそう自称するまおの姿を見た時は、”そんな大きな看板を背負って大丈夫?”と思ったが、その後のせのしすたぁは各地でその二文字に違わないライブを続け優勝街道を驀進し続けてきた。

演目が全て終了させたせのしすたぁを見送るように「優勝!優勝!優勝!」のコールが湧き上がる下北沢シェルター。アイドルイベントでも対バンライブでもない、3人しか立っていないステージでも、やはり彼女たちのライブに相応しいのは”優勝”の二文字だった。

躍進の2014年を終えたせのしすたぁにとって、2015年がどんな年になるかはまだ分からないが、昨年以上の期待と注目度を浴びることになるのは間違いない。
がむしゃらさが認められた昨年とは違う見方もされることもあるだろうが、そんな中でせのしすたぁがどんな進化と驚きを見せてくれるのかが楽しみだ。

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